第4話 ファーストミッションコンプリート
「さて、分かれ道に戻ってきたのはいいとして問題はここからなんだよな」
俺は分かれ道に戻ってきて、さっそく困ったことになってしまう。
実は俺自身その洞穴がどこにあるのかは知らないんだよなー。
というのもこれはあくまで回想シーンでのみの口頭イベントだからかなりはしょられてて洞穴の特徴ぐらいしか分からないんだよな。
「けどタクミは多分もう一方の道を進んだんだよな」
林の中の洞穴で見つけたとはいえ最初に辿るのはこの道で間違いない。
俺ももう一方の道を進んで行く。
***
「うそだろ・・・」
俺がタクミを追って道を走っていると割とすぐに道が途切れてしまっていた。
俺はどうしようかと悩んでいると道の横よ土に足跡があるのを見つけた。
「これは・・・多分タクミか、それとこっちは・・・ミユか」
恐らくタクミも俺と同じように悩んでいる時にミユの足跡を見つけたんだな。
俺も二人に倣って林の中へと入って行く。
しばらく進んで行くと二人の足跡が途切れた。
「ここから足跡は無しか・・・土の硬さが変わったからか。さて結構進んだけど確か洞穴の形は地面と繋がってる巣穴みたいなって感じだったよな」
ラノベの挟み絵ではモグラの穴を大きく感じだったよな。
もうしばらく歩いているとめっちゃプ◯イ◯ランドにありそうな岩を見つけた。
俺はその岩に登った。
すると岩の先が少し浮いているようで岩の先に行って見てみると洞穴があった。
「ここか・・・」
俺は小声でそう呟いた。
俺はゆっくりと岩の上から下の洞穴を覗くとそこには一人の女の子がいた。
「こわいよ・・・・・・シュウ君、タクミ君どこ?」
ミユが兎のぬいぐるみを抱きしめながらそう言っていた。
「うっ」
こんな姿を見ているとほっとけないが第一発見者はタクミでなくちゃいけないんだ。
俺は心と声を殺して来た道を戻りタクミを探す。
俺はミユの居場所を忘れないように木に付箋を貼っていく。
「おーーい、タクミ!」
俺はすぐにタクミを見つけた。
「シュウ!ミユはいたか?」
「ごめん。でも俺も手伝う。タクミは向こうを探してくれ俺はあっちを探す」
「わかった!」
タクミは俺の言う通り俺の指差した方に走って行った。
「よし、これで」
俺はタクミにバレないようにそっとついていく。
***(実夢視点)
こわい、こわいよ。
ミユは洞穴の奥で震えていた。
気づいたらみんながいなくて道も分からなくて、近道しようとしてこっちに来たら迷っちゃった。
それにわたしが大きな岩の上にいること気づかなくて落っこちちゃって脚怪我しちゃったし、もう嫌。
ミユは兎のぬいぐるみを抱きしめて涙を流す。
「助けて・・・助けて・・・」
ミユは消えそうな声で言う。
わたしこのまま死んじゃうのかな。
パパとママにもう会えないのかな。
様々な不安がミユに押し寄せて彼女を悲しませる。
「嫌だよ・・・死にたくないよ」
ミユは更に強くぬいぐるみを抱きしめる。
「ミユ!いた!」
その瞬間聞き馴染みがある声がした。
洞穴の入り口に一人の男の子がいた。
「タクミ・・・君?・・・タクミ君!」
ミユは嬉しくて彼の名前を叫んだ。
タクミは急いで洞穴に入って行きミユを駆け寄る。
「ミユ、大丈夫だったか!」
「う、うん」
ミユはタクミの胸に顔を埋めてそう答える。
あったかい。
タクミ君の体。
ミユは顔を見上げてタクミの顔を見つめる。
かっこいいなタクミ君。
ミユは自然とタクミに惹かれていった。
そしてミユは「はっ」となって気づく。
わたし、もしかしてタクミ君のことが好き?
「ミユ、今すぐ助けるからな!」
タクミは必死にミユを抱きしめてそう言った。
その言葉を聞いてミユは確信した。
ああ、わたしタクミ君のこと好きなんだ。
ミユは自分がタクミのことを異性として好きだと確信した。
「タクミーー!どこだー!」
洞穴の外から声がした。
「シュウーー!ここだーー!!」
タクミがその呼びかけに答える。
するともう一人、男の子が洞穴に入って来る。
***
俺は時を見計らってタクミを呼ぶ。
「タクミーー!どこだーー!!」
俺が声を出すと下の洞穴から俺を呼ぶ声がした。
俺は洞穴へと入っていく。
そこにはミユを抱きしめるタクミの姿があった。
「大丈夫か二人とも!」
「うん。でもミユの脚が」
「え?」
タクミが目線をミユの脚に向け、俺もその先を見るとミユの足首が腫れていた。
俺はミユの顔を見る。
ミユはとても安心した顔でタクミの胸に顔を埋めていた。
(よし、大成功だ!)
俺はミユのその顔を見て作戦の成功を確信した。
となると次はミユをこの洞穴から連れ出すことだな。
「ミユ、少し触っていいか?」
「う、うん」
俺はミユに確認を取り腫れた足首を見る。
「骨折してるな」
ミユの足首は青紫色に腫れていた。
マジかーー、こんなん知らねぇよ。
実は原作ではミユがこの時足首を骨折してると言う情報は無かった。
「なんとか出来ないか」
タクミが俺にそう聞いてきた。
「応急処置ぐらいは出来る。ミユ少し痛いが我慢してくれ。それと足首を動かさないように」
「うん」
俺はそこに落ちていた木の棒を拾ってバックから水を出してその棒を洗う。
俺はその棒を石の上に置き乾かす。
その間にバックから包帯を取り出す。
え?なんで包帯なんか持ってんのかって?
それは俺が家を出る前に母さんが「いい。遠足とはいえ怪我をすることがあるかもしれないから傷が出来た時の絆創膏と骨折した場合の包帯を持って行きなさ」って。いや〜一般的な母親は息子の遠足に包帯を持たせるなんてことしないけどな。
流石は母さんとしか言いようがない。
俺はミユの足首に包帯を巻く。
「い!」
「ミユ!?」
「ミユ少し我慢してくれ」
「う、うん」
俺は包帯を巻き終え乾かしていた木の棒を取ってミユが足首を動かせないように木の棒とミユの足を包帯で固定する。
「これで大丈夫な筈だ」
「ありがとうシュウ君」
「いいって。それよりタクミ。お前そのままミユを運べるか?」
「多分」
「ならミユの脚に負担がかからないように持ち上げてくれ」
そう言ってタクミはミユから離れておんぶする姿勢をとる。
「シュウ、俺のバックを持ってくれ」
「わかった。ミユはタクミの肩掴めるか?」
「う、うん」
ミユは頑張って肩を掴もうとするが中々掴めない。
俺はしょうがなくミユの両腿を持って浮かせ手伝う。
「よし」
「掴んだな」
「う、うん」
タクミもミユの腿をしっかり掴みおんぶする。
そのまま洞穴の外へと歩いて行く。
「あ、待って!」
突然ミユが声を出した。
「どうした?」
俺がミユに声をかけるとミユは後ろを振り向いて洞穴の奥を指差す。
「う、兎さん」
「兎?」
あのぬいぐるみか。
「側に置いてあった兎のぬいぐるみのことか?」
「うん」
「分かった取ってくる」
「ありがとう」
ミユはそう言って眠ってしまった。
「お前はそのままミユを連れて行け。俺も後で追う」
「分かった」
俺は洞穴の奥へと戻る。
「こいつか」
俺が見つけた兎のぬいぐるみは泥まみれだった。
「そういえばこのぬいぐるみどこかで・・・・・・まぁいいか」
その後、俺たちは先生たちに発見されてミユはそのまま救急車に乗って病院へ。
俺とタクミは勝手に行動したことを怒られてしまった。
*実夢ごめん!
でもお前の幸せを思ってなんだ!
俺も鷲も気づいたのにほっとくの本当に辛かったんだ!!
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