第9話
絶望的に体が動かない時は、口から喃語がまーよく飛び出す。
「うー」だの「あぅー」だの、生まれて数ヶ月の赤ん坊のように唸っているのにピクリとも動かないその様は、だいぶ気色悪いだろう。
数年前、そんな状態でもどうしても動かなければいけない時期があった。
少し苦しみの波が引いたその瞬間に気合いで足を動かす。体は持ち上げず、床に引っ付いたままズルズルと引きずり、泣き、もがき……。
思い出すだけでもつらい。
この頃、奇異で滑稽な行動を繰り返してたなぁ…と思うと、抉られたくない古傷が疼く。
やめてくれ、私の左前足のダークネスドラゴンが………。
やる気の消失は、なかなかにしんどい。
動きたくても動けない、やりたいのにやれない。辛いのに、怠けと勘違いされる。
悔しくて、悲しくて、苦しくて。
1番堪えたのは、周りに置いていかれる感覚だった。
私は、何やら置いていかれることや"いい子"でいられない事を極端に恐れているらしい。
置いていかれて、頭の悪い、いわゆる"悪い子"と呼ばれる領域に自分が堕ちていくのを感じながら生きるのは、苦しかった。
で、時間は戻って現在。
絶賛体が重たくて動けない状態である。
幸いにも腕と脚は動く。でも、腰や尻が床から離れてくれない。
身体能力が6ヶ月ごろの赤ん坊と同じレベルまで低下しているので、何をするにも重労働で、苦しい今日この頃だ。
悪い子に、なってしまいませんように
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