第3話 ご冥福をお祈りします
商業施設で女子高生が死んだらしい。
事故と事件の両方で調査を進めているそうだが、柵の高さ的におそらく自殺だろう。
新学期で疲れてしまったのだろうか。それとも、定期考査がうまくいかなかったのだろうか。それとも…。
そんな浅はかな、物事を自分の物差しでしか見れないようなバカな女だ。私は。
色々な選択肢が浮かぶ中、ついつい旧Twitterを漁る。
青い鳥が飛び去り、荒地となった愛しい我が家。そこに期待した私が幼かった。
『死ぬなとは言わないけど、迷惑かけるな。』
『しばらく人が死んだアソコには行けない』
あぁ、やはりそうだ。悲しい。
こういうニュースが流れると、迷惑がる人が多い。
日本っていつもそうですよね!!
自殺志願者のことなんだと思ってるんですか!!
…私は悲しかった。
彼女の事を何も知らない輩が、公の場で死んだ彼女を罵っているなんて。
あぁ、彼らに少女を弔ってやる優しい気持ちはないのだろうか。
頑張ったねと言ってやれなくても、受け入れられなくても、理解できなくても、心のどこかで彼女の事の死後の世界での安寧を祈ってやることはできないのだろうか。
Twitterに書き込んでいる彼らはきっと大人で、社会人で、不安定な思春期を過ごした経験があるだろうに。
なぜ、たった数文字の"ご冥福をお祈りします"が言えないのだろうか。
でも、事件だったのか事故だったのか何も分からない今は、ただ。
六畳半の薄暗い自室から、名も知らぬ同年代の少女の安らかな眠りを祈るばかりだ。
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