勝ってる、殴ってる、倒してる

釣ール

別の人生をおくりたかった

 腹の痛みを抑える度に、泰三たいぞうはいつもすれ違う人々に視線をなげかけるのだった。


 今でも喧嘩は行われている。

 荒れた性格のやつはいつの時代にも現れる。

 働きアリの現象とは違う。


 喧嘩するには理由がある。

 孤独感が花粉の入った目に涙を流させるような体質によって症状が起きるように個人差がある。


「ぶはっ、はぁ。はぁ。うっ、はぁ。」


 殴り疲れていたから今日くらいのダメージはきっと喧嘩相手とはフェアだろう。

 鍛えた筋肉も集団による攻撃にはほぼ無意味。


 人間はそういう生き物。

 だから増え続ける。


 泰三は「俺が別の生き物でそのリーダーならきっと救世主なのになあ。」


 と自分の腹筋を殴りながら理想論を脳内で語る。

 異性との付き合いでも解消できなかったよ。

 この孤独感は。


 有り得もしない夢とイフを描きながら今日も売られた喧嘩を買いに行く。

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勝ってる、殴ってる、倒してる 釣ール @pixixy1O

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