♯7 ショックからまた休んでしまって

section10




 翌日。


 朝からどうしようもないほど私の気分は優れなかった。


 あのショッキングな出来事が尾を引いてしまっている。


 町瀬くんにはまだまだ私の知らない一面があり、その1つを垣間見て幻滅してしまったのが昨日。


 彼が得体の知れない人間のように思え、今後も会いたいという気持ちが一気に低下した。


 些細ささいながらも町瀬くんとの触れ合いは、仄暗い日々を送る私の心に小さな光をともしてくれた。


 それが何の前触れも無く消え失せたのだから、心理的なダメージを負っても仕方がない。


「はぁ」


 私の事を理解してくれるボーイフレンドが出来そうな予感に一時は心をときめかせていたのに――。


 体が重い。ベッドから起き上がる気になれない。


 そうやって布団の中で過ごすうちに、いつもなら家を出てる時間を過ぎ、やがて始業時刻に差し迫る。


 不意にスマホの着信メロディが枕元で鳴った。


 表示を見ると『母』


 通話に出ると、予想通り、学校に行くのか行かないのかの確認。


 私の「休む……」の答えに「そう」と冷たい言葉が返され通話が終了した。


 出席日数が危ういのに何をやってるの子は。そんな非難めいたものを感じた。


 負の記憶と紐づいてしまったせいで、私の唯一の心の救いであった架け橋ピアノにも、しばらくは行く気になれない。


「最悪」

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