♯7 ショックからまた休んでしまって
section10
翌日。
朝からどうしようもないほど私の気分は優れなかった。
あのショッキングな出来事が尾を引いてしまっている。
町瀬くんにはまだまだ私の知らない一面があり、その1つを垣間見て幻滅してしまったのが昨日。
彼が得体の知れない人間のように思え、今後も会いたいという気持ちが一気に低下した。
それが何の前触れも無く消え失せたのだから、心理的なダメージを負っても仕方がない。
「はぁ」
私の事を理解してくれるボーイフレンドが出来そうな予感に一時は心をときめかせていたのに――。
体が重い。ベッドから起き上がる気になれない。
そうやって布団の中で過ごすうちに、いつもなら家を出てる時間を過ぎ、やがて始業時刻に差し迫る。
不意にスマホの着信メロディが枕元で鳴った。
表示を見ると『母』
通話に出ると、予想通り、学校に行くのか行かないのかの確認。
私の「休む……」の答えに「そう」と冷たい言葉が返され通話が終了した。
出席日数が危ういのに何をやってるの子は。そんな非難めいたものを感じた。
負の記憶と紐づいてしまったせいで、私の唯一の心の救いであった架け橋ピアノにも、しばらくは行く気になれない。
「最悪」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます