第13話 堕ちて堕として落とす

「ちょっ。あともうちょっとで登録者数20万人達成じゃん! 超やばい! テンアゲー!」


 校舎裏。いつものたまり場でうちらは話してた。


「は!? まじかよ、姫! やったぜぇ!」


 剛士がウチになれなれしく触ってくる。

 胸触ってくんなよ。利用するために一回ヤらせてやっただけなのに調子に乗って。マジきもいんですけど。

 剛士を振り払って正君まさくんのもとに行った。

 もちろんボディタッチは忘れずに。


「正君! 再生数も安定してきたし、ウチらいい感じじゃね?」

「うん。そうだね。それに今月は電車で三人の痴漢とダンジョンで違反行為をしていたグループも捕まえられた。僕たちのチャンネルが大きくなって正義も執行できて言うことはないね」

「正君マジ超格好よかった! また二人で捕まえに行こうね☆」

「おいおい。剛士と三人で、だろ。なぁ、剛士も大活躍だったよな」

「……ああ。そうだな」


 剛士が露骨に態度が悪い。さいてー。けどちょっとざまぁみろって思った。人の胸勝手に触んのが悪いのよ。

 けど、正君が喜んでくれてよかった。

 痴漢の冤罪を演出した甲斐があったって感じぃ。

 痴漢ばっかだとバレちゃうから、また次考えなきゃ。


「俺今日帰るわぁ。ちょっとファンの中にかわいい子いたから遊んでくるわ」


 また始まった。剛士の信者食い荒らし。まぁ、どこぞの女がこいつの毒牙にかかろうと知ったこっちゃないけど。むしろ処理係ご苦労様。


「ねぇ、正君。今日一緒に遊び行こうよー」

「いや、今日もパトロールをするよ。そのついででいいなら少しくらい遊べるけど」

「マジ!? いくいくー」


 そんなに簡単に見つかるわけないしー。

 だけど、もしかしたら信者からいい情報来るかもだし。

 この間、信者のレオセクトさんから来たダンジョンの違反行為の情報なんてマジどこからそんな情報仕入れてくこれるのって感じ。本当に神様仏様信者様。おかげでうちら超イケイケだしー。


「さぁ、今日もか弱い人々が僕らを待ってる。行こう。姫宮さん」


 ああ。本当に正君超イケメン。惚れ惚れしちゃう。


 ※※※※


「クク……。あはははっははは!」


 あまりにもうまくいきすぎて笑いが止まらない。


「その調子だ。その調子でどんどん堕ちていけ。お前らはすべてがうまくいっていると思ってるんだろうが大間違いだ」

 

 どんどんフラグを積み重ねていけ。

 今は配信者として成功していると錯覚しているのだろう。自分たちは成功者だ。一生遊んで楽して暮らしていけると。

 でもそれはちがう。

 

「面白いほど俺の思い通りに踊ってくれる」


 そんなやり方で富と名声が得られるとでも思っているのか?

 お前たちみたいなクズ以下の醜い存在がうまくいっているのは全部おれのおかげだ。それも今は堕ちる前の準備段階みたいのものだけどな。


「さぁ、計画はまったくもって順調。いや、もう少しスパイスを増やそうか。あの三人の中でも面白そうな人間関係の変化があったみたいだ。うまく誘い出せれば面白くなりそうだ」





 

 

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