2話 置き手紙

「こんにちは、えりかちゃん」

 塾に行くたびにりさちゃんは声をかけてくれる。

 でもそれは仕事で言っているだけだ。

 そんなことは痛いほどわかってる。


 そんなりさちゃんに私は置き手紙をした。

 近況報告を書いていた。

 でもいつからか文面がメンヘラ化していった。

「もう会える気がしない。」

「またあいたい」

 絶対に不気味がられる。

 好きバレしちゃう。

 でも、止められなかった。

 いつかは会えるとわかっていてもりさちゃんが休みだってわかるたびに、

 今日はいないってわかるたびに、

「もう君とは会えないんじゃないか。」

 そんな不安に襲われた。

 会えるはずなのに会えない。

「なんでいないんだろうね。なんで会えないんだろうね。

 私たちタイミングが合わないね。

 神様は意地悪だね。

 えりかが、こんなにりさちゃんに会いたがってるのに会わせてくれない。」

 でもね、大事なことに気づけた。


 えりかにとってりさちゃんが

 どれだけ

 大切な存在なのか

 大事な存在なのか

 ということに。

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