第29話 星side 伝えた気持ち
付き合いたい。
好き。
俺が女子相手にそんなこと言うなんて、少し前までは考えもしなかった。
しかもあんなタイミングでなんて、自分自身驚いている。
けど、日向が見つかったことや、そのために坂部があんなに頑張ってくれたこと、全部が嬉しすぎて、気がつけば気持ちが溢れ出していた。
好きだって言って顔を真っ赤にする坂部は、正直可愛かった。
まあ、後になって冷静に考えると、先走ったんじゃないかって気持ちも、少しはあるけどな。
急にあんなこと言っても戸惑うだろうし、どう考えても告白するタイミングじゃなかったよな。
しかもそれからすぐうちに帰りついたもんだから、返事を聞くのはもちろん、詳しい話もできなかった。
父さんが迎えてくれて、他を探しに行ってた俊介も戻ってきて、それから今日はもう遅いからってことで解散になったけど、坂部はその間、ずっと心ここにあらずって感じだったな。
なんて考えていると、部屋の扉がノックされ、父さんが入ってきた。
「星。今回のこと、お前にもだいぶ苦労かけたな」
「またそれかよ。もういいって言ってるだろ」
日向がいなくなった後も、連れて帰ってきてからも、もう何度も謝られた。
もう十分だし、そもそも俺は、父さんのせいなんて思っちゃいないんだけどな。
「いや。本当は、前々から思っていたんだ。いつも仕事ばかりで、お前や日向に向き合ってやれなかったって。この前、坂部さんの家族に遊園地に連れて行ってもらってた時もそうだった」
ああ。そういえばあの時も、俺や日向になんどもごめんって謝っていたっけ。
「今回のことで、いよいよ決心がついたよ。これからは仕事を減らして、家族でいられる時間を大事にするよ」
「大丈夫なのかよ?」
「ああ。言っただろ、前々から思っていたって。そのための準備は、とっくにすませてる」
そんなことしてたのか。
俺は、父さんの仕事が大事ってことはちゃんと理解しているつもりでいたけど、それで日向がもっと笑顔になれるなら、もちろんその方がよかった。
「いいんじゃねえの。日向も、父さんと遊ぶ時や一緒に出かけた時、楽しそうだからな」
「ああ。実はさっき、日向にも同じことを話した。それで、どこか遊びに行きたい場所はあるかっても聞いたんだ」
「へぇ。それで、日向はなんて言ったんだ?」
「それがな……」
すると父さんは、意外なことを言い出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます