第14話 雪合戦棒たおしゲーム
最近は、暖冬で雪が少なくなった。でも3月初めに15cmの雪が降り、2時間目に3年生の体育が入っていたので、雪合戦をすることにした。朝のうちに雪だるまができているが、雪合戦にはかくれる場所になるので、ちょうどいい。
「最初の15分で雪玉を作ります。それと作戦タイムです。相手の棒を倒したら勝ちです。当てられた人は、自分の陣地つまりサッカーゴールにタッチすると、また生き返ります。それと当てられた人は両手を上げてもどると、雪玉をぶつけられません。もどる時には両手をあげた方がいいよ」
と、豪介は言って棒を雪の入ったバケツにさして、双方のサッカーゴールの裏に置いた。サッカーゴールにはネットがはっており、正面突破はできない。左右からまわり込んで、棒を倒すしかない。
15分の雪玉作りが終わって、ゲームスタート。
まずは紅チームが攻める。白チームはサッカーゴール周辺を固めて守っている。運動の苦手な澄江ちゃんは棒の近くで最後の砦になっている。まるでラスボスの様相である。白の守りが固くて、紅の攻撃はストップした。今度は、白が攻める番だ。白は頭を使って、陽動作戦にでた。左から攻めると見せて紅組の守りをそちらにひきつけ、時間を見計らって3人の特別隊が右から攻め込む。棒をたおすかに思えたが、白組のエースがそれに気づき、3人をつづけざまに倒した。
その後は、一進一退が続く。時間がせまり、紅組は総攻撃をかけた。白組もそれに応戦する。そこを抜け出したのは澄江ちゃんである。だれも警戒していないので、するするっと相手サッカーゴール裏まで近づくことができた。あと1歩で棒をたおすというところで、当てられてしまった。
タイムアップ。結果は引き分けとなったが、子どもたちは満足気な顔をしている。
「先生、またやろうね」
という声があがっている。
「雪が降ったらね」
と豪介は言ったが、雪合戦ができるぐらいの雪はなかなか積もらない。もしかしたら今回が最後かもしれないし、4月からは学年があがり、この子どもたちとの授業はなくなる可能性が大だ。いい思い出になったかもしれない。
今回も走らずに終了。
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