第13話 4面ドッジボール
3年生の体育の授業でドッジボールをすることにした。そこで、豪介が
「今日は4面ドッジボールをします」
と言うと、子どもたちから
「なに、それ?」
という声があがる。それで豪介の説明が始まる。
「4面ドッジボールは外野のないドッジボールです。校庭に十字の線が引いてあり、その中央に円が書かれています。その円の4分の1の大きさが1チームのコートになります」
「先生、線の外にでたボールはどうするんですか?」
「いい質問ですね。十字の線の延長線上が自分のコートの範囲内なので拾いにいくことができます。ただし、投げるのはコート内、逃げるのもコート内です」
「先生、あてられた人はどこにいくんですか?」
「これまたいい質問ですね。外野がないので、あてられた人はあてた人がいるコートに入ります。コートから出た人もアウトですから、投げたチームに行くことになります」
「ということは、外野で休んでいるわけにはいかないってことか」
「いいところに気づいたね。人数が多くなると逃げるところが少なくなるから強いチームが勝つとは限らないね」
「それでチャンピオンは数の多いチームですか?」
「たしかに人数の多いチームがチャンピオンなのですが、その中で一度もあてられなかった人がチャンピオンです」
「逃げてばかりいた人でもチャンピオンになれるんですか?」
「そうですね。ボールをよけるのも大事なことですから、それではスタート」
男女混成で4チームを作り、コートに分かれる。最初のボールは代表4人のジャンケンで決まる。
Aチームのボールで開始。BとDどちらに投げるか迷って、結局Bコートに投げた。案の定、ボールはコート外に転々と転がり、コートの外に出る。それをBチームの子どもが取りに行くと、途中からCコートに方に転がってきて、Bチームの子どもがあわててもどってきていた。
みんなが逃げてばかりいるので、豪介はボールを2個にした。そうなると、後ろからボールが来ることもあり、子どもたちはワーワー言いながら走り回っている。それでも、外野にボールが転がっていくことが多く、見ている時間が長い。そこで、3個目のボールも導入。これで、やっといそがしくなった。
運動の苦手な亮くんはAチームであてられて、Bチームに移動。すると、またまたあてられてCチームに移動、外野でじっとしているわけにはいかないので、いそがしく走り回っている。それはそれで運動として成り立っている。
5分たって終了。優勝はAチームだった。一度もあてられなかった人が5人残っていてのチャンピオンだった。
今日も豪介は走らずに終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます