第2話 再会
あれから1週間、他愛ないLINEのやり取りは何度かした。交際していた時に戻ったようで懐かしかった。いよいよ今日が約束の日だ。
横浜駅に11時に待ち合わせをしている。1年振りの再会なので、緊張する。余裕を持って着けるように自宅を出た。
横浜駅に到着すると、いつも待ち合わせをしていた、駅前のカフェで合流する。
「陽樹、こっちこっち~、久しぶり。」彼女が手を振り俺も直ぐに気づく。
「愛梨、久しぶりだな。元気だったか?」
「まぁ、ぼちぼちかな。大学の方はどう?」
「何とかやってるよ。愛梨は何かあったのか?この前、お前泣いてたからさ、心配してた。」
「実は、まぁ色々と息詰まっててさ。陽樹どうしてるかなって、声が聞きたくなっちゃってね。ごめんね。」
━━━━━話を聞くと、来年実習に行く予定ではあるが、なかなか課題がスムーズにこなせず苦労してること。そして、実家でクリニックを経営している父親と最近折り合いが良くない上に、プレッシャーなどもあり息詰まっているらしい。
本来であれば医学部に進学して、家業のクリニックを継ぐことも視野に入れた選択をするはずだったが、成績が医学部に及ばず、大学の看護学科に進んで保健師の資格も取得して欲しいと言われたが、看護学校に進学したことで肩身の狭い思いをしているとのこと。
幸い医学部を卒業した愛梨の兄が今年から研修医として大学病院に勤めることになり、愛梨は兄を比べられることも多くなっていて、悩んでいるという。唯一の理解者が、クリニックで看護師をしている母親だそうだ。
話しているうちに、また彼女は悲しそうな表情をした。
「そんなことがあったんだな、辛いよな…。」
「……うん。もう、どうしていいかわかんなくなっちゃった。」
「あのさぁ、思い切って、家を出てみては?」
「でも、多分すぐには許して貰えないと思う。」
「そっか……。それなら、看護学校を卒業してから、もう一度、保健師に向けて養成学校へ入学する為に、その資金を貯める為にアルバイトをしたいと相談してみるとか。」
「うん、そうだね。話してみる。お母さんも看護師だから、お父さんに上手く話して貰えるかも。」
「俺で良かったら、またいつでも相談に乗るから。」
「陽樹ありがとう。」
「そろそろ店出るか。行きたい所あるか?」
「そうだなぁ、カラオケとか?」
「行くか。」
「おう。」
愛梨に笑顔が戻り、安心した。今日はきちんと、愛梨に今までのことを話して、きちんと謝って、俺の気持ちを伝えると決めていた。これからは、彼女を支えて行けるようになりたいと、そう考えていた。
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