●PC③:それは託された想い

●PC③:それは託された想い

◆解説

 他のPCは登場不可。PC③が榛名愛理から「アンチソフィーヤ・アンプル(試作)」を託されるシーン。

榛名愛理との出会いから描写していき、彼女が「アナムネシス」を発見した場面、そして危険性に気付き、封印しようとするもFHに襲撃される。苦肉の策として愛理は唯一の肉親であった妹、榛名愛花の体内に「アナムネシス」を封印して隠蔽を測るが、マスタースレーブに看破される。結果、自らは致命傷を負い、最愛の妹は連れ去られてしまう。

榛名愛理は息絶える直前、PC③へ「アンチソフィーヤ・アンプル(試作)」を託して息絶えた。


▼描写

 ――少し、昔の話をしよう。これはUGNで未知のシンドローム研究が行われていた時期のことだ。

 バロ―ル、オルクスと新たなシンドロームが発見される中で、UGNはその驚異性と重要性に目をつけ、レネゲイドウイルスの研究機関を設立。

 PC③。君はこの職員として、実際にそこで働いていた。

 規模そのものはそこまで大きくなく、職員も数は多くない中で、君は“知を愛するフィロソフィー”榛名愛理(はるな・あいり)と出会う。

 彼女は、“パンドラ”榛名愛花のお姉さんだ。


▼セリフ:榛名愛理

「やぁやぁはじめましてPC③! 私は榛名愛理。専門は新しいシンドロームの発見!」

「どうかよろしくね。奇妙な縁に乾杯!」


 彼女は歓迎の印としてビーカーに珈琲を淹れてくれ、共に乾杯したのをよく覚えている。


(PCの反応を待って)

 榛名愛理。彼女はレネゲイド研究者として優秀だった。

 専門は新しいシンドロームの発見としつつも、時に既存シンドロームの新しい可能性を開拓し、時に分類不能とされたオーヴァードのシンドロームを解明してきた。

 Dロイスの亜純血や純血種といった、普通と少し異なる能力について分析していたのも彼女だ。彼女の研究の一部は今もUGNの中で息づいている。

 しかし、彼女とて完璧ではない。行き詰まった際は君に頼り、頼られる内にいい友人関係を構築していった。彼女と解明した未知は少なくない。

 とても有意義なひとときだったと言えるだろう。

 そんなある日の事、愛理は顔立ちが似た少女と研究室の前で会話をしていた。恐らく妹だろうか。


▼セリフ:幼い頃の愛花

「それじゃあ、お姉ちゃんまた後でね!」


▼セリフ:榛名愛理

「あぁ、いい子で待ってるんだぞ」

「……さて、待たせてすまない光迹。今日こそ新しいシンドロームを発見しようじゃないか」

「昨日手に入れたサンプルが面白い反応を示しているんだ。これはもしかしたらもしかするぞ」


(PCの反応を待って)

「あぁ、可愛いだろう? 親バカなのは自覚してるが勘弁して欲しい」

「両親には先に立たれてしまって唯一の家族さ。名は愛花」

「今日は妹の誕生日なんだ。研究が一区切りついたらこれからケーキを買いに行く予定でね!」

「そのために研究所の待合室で待ってもらってる」

「だから今日は残業お断り。是が非でも定時上がりなんでよろしく!」


(PCの反応を待って)

「あぁ! それでは本日の研究を始めようか!」

 これが君とっての忘れられない日だ。

 彼女は古い地層から発掘した岩石から、新たなシンドロームである“アナムネシス”を発見することになる。

 君たち2人はその感動を分かち合い、早速“アナムネシス”の分析を始めたのだが、これが悲劇の始まりだったのだ。


 アナムネシスへの覚醒を促すために、安全のため適合パッチテストをした研究者が突然ジャーム化した。

 あくまでパッチテスト用の少量しか用意していないし、そも反応するかどうかの量だった筈だ。

 なのにジャーム化した。研究所は緊急事態に陥り、命令系統は混乱。

 しかもその隙を狙って、FHが襲撃してきたのだ。

 襲撃によって気を失っていた君が目覚め、一目散に目にしたのは……

 胴体に風穴を開けられ、もはや風前の灯火となった榛名愛理だった。


▼セリフ:榛名愛花

「ごほ……あぁ、目覚めたんだね、PC③」


(PCの反応を待って)

「いやぁ、FHのエージェントに、ちょっと見つかってね。工作活動で怒りを、買ったらしい」

「……ぁぁ、あと残念なお知らせだ。私たちの研究成果とも言えるアナムネシスは、すべてFHに奪われてしまったよ」

「あれは、危険な代物だ。君も見ただろう、研究員が突如ジャーム化するのを」

「大した量じゃない、あくまでパッチテストの濃度だった筈なのに、あの有様だ」


 事前に侵蝕率チェックもしていたのにな、と乾いた笑みで笑うその口端からは命の血がとめどなく溢れていく。


「だから、私は、咄嗟に妹の身体にアナムネシスを埋め込んだ。FHの手に渡らせないために」

「妹しか、適合する可能性がなくてな。苦渋の、決断だったのに」

「でも、それも駄目だった……! 愛花はFHに攫われて、アナムネシスの実験体として扱われてしまうだろう」

「こんな、こんな筈じゃなかったのに」

「なぁ、PC③。私は、何かを間違えたんだろうか」


(PCの反応を待って)

「……PC③。1つだけ、心残りがある」

「妹を。愛花を頼めないか」

「きっと、酷い目にあう。痛いこともされるだろう」

「あの子は、昔から痛いことが駄目なんだ」

「だから、どうか」

「愛花を、どうか。奴らから助け出してやって、くれ……」


(PCの反応を待って)

「ありが、とぅ。PC③」


 愛理は最後、君に何かをそっと握らせて命を落とした。

 あの日の友人の願いを果たすため、だから君はUGNに身を置くのだ。


 あとから分かったのは、襲撃してきたFHセルが『ペルフェット』であるという情報だけ。

 正直、捜索は難航した。しかし、それでも君はあの子を救わねばならない。

 他でもない。己の心にそう固く誓っているから


 ――これが、彼女と君の間に取り交わされた絆。

 今は亡き友人の忘れ形見を取り戻すための約束だ。


◆結末

 PCの反応があればそれを描写し、◯アイテム「アンチソフィーヤ・アンプル(試作)」の存在を公開してシーンを終了する。

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