今日
あの日から、何年経ったか。今自分には大事な嫁さんも、3人の子供も、友達だって沢山いる。
「でも、ここに来ると思い出すなぁ」
あの日の記憶。あの日々の記憶。
あの夏の、あの日々の、君と俺との、記憶。
きっと、世界にとっては何一つ特別なことはない。
でも自分たちにとっては、あまりに大切だった日。
後悔なんて沢山ある。
時間は残酷なものでもう、何を後悔していたかなんて忘れてしまったけれど。
「天国で、元気してるか」
もうあの日のように目を腫らすことはない。
でも、やっぱり今日も空は晴れていた。
「お前は、そうでなくちゃな」
今の嫁さんは本当に可愛くて、優しくて良い人を貰ったけれど。昔、実はお前に告白しようと思ってたんだ。本当だぞ。今となっては、そんなことを口に出すのは二人の女性に失礼だから言わないけれど。
「笑顔が素敵な奴だったな!」
供え物をして、線香を焚いて手を合わせて、線香の火を手で扇いで消す。
「お前の好きな栗饅頭だ」
そして、供え物を一口で頬張る。昔は栗饅頭そこまで好きじゃなかったけど、今は結構好きだ。ほのかな甘さが口に広がる。
「ごちそうさま………それじゃ。また」
墓石の下に埋まっている、君にお辞儀して別れの挨拶をする。
「………それじゃ。また、今度な!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます