第18話 カンタレラ


________次の日の放課後


「いいぞ陰キャ夜崎!存在感の“そ”文字も見えないほどの陰!」

「...っす..やめ..て下さい..っ..す」

「声も!見た目も!行動も!素晴らしい!素晴らしいよ!夜崎よ!完璧だ!パーフェクトだ!満点だ!」

「っあ..あぁぁぁあああ!こんな髪だと前が見えねぇよ!」

「お前の座右の銘は“天才の人生は永遠の下り坂”って」

「誰が下ばっかみて歩いて居る男だ!」

「賭けに勝ったらアボガドあげるから頑張っ」

「居るかぁあそんなもん!」

「あら!アボガド好きじゃなかったけ?」

「今はゴーヤだ!」

「じゃあゴーヤあげるわよ」

「何個だ」

「私が勝った回数分」

「..っい..いい..ですょ..」

「よーしじゃあ100万を握りしめていってこい!陰キャ夜崎」


そう言って私は夜崎を暖かくも冷たくもない

期待のない見つめ肩を軽く叩いた


髪を下ろしたし正体はバレないだろう

もとは菊金先生が変装していく予定だったが

少しは使えると思ったの二日酔いで

印象が大人げない駄目教師まっしぐらだな


「あっそうだ..ワセリンを手の全体にでも塗っていけ...保険だ」

「っす」


そう言って夜崎は机に置いてあったワセリンを右手に塗った

そのまま何も言わずに教室から出て行った

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トリプルダウン マルコボーロ大佐 @dokusilyokannbunn

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