第3話 些細なインチキ





「そっそれでは...掛け金をくっ口に上げて下さいっ...」

「675万..ですわ」

「675万だ」

「675万っ」


ここで一条に勝たせて

先生の財布の底を覗く

この試合で何としてでもイカサマを使ってでも


ハウスルールまで変えて賭けたんだ...

確実に殺さないと

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す


「そっそれではどっどうぞ」

「...殺す...」

「物騒な奴だな..この校の生徒は」

「わっ私から投げますわ」


私は右手でサイコロを握りしめ

左手の中指に瞬間接着剤で小型で強力な磁石を取り付けた

周りの目線が一条が振ったサイコロに集中している間に僅か1.2秒で


サイコロの出目は

1 3 5

目無し


よしっちゃんとあのサイコロを使ったか

一条が起き上がった瞬間に奴の左ポケットに入れたサイコロ..インチキサイコロ

4と5と6の面の中に磁石が仕込まれているサイコロ


「めっ目無し...」

「くくく」


気づいてないか...普通は気付かない

あんな金額の賭けでそんな些細な違和感を

重さや音などの多少な違和感

気がつく訳がない


再び一条がサイコロを机の上に振っ他瞬間

サイコロが机で回っている瞬間

一条の手を右手で握りしめて

左手を回っているサイコロの近くに構えた


「一条ーーーッ落ち着け焦るな!焦ると計画がパーになっちまう」

「わっ..わかったわ」


一条の手を離し

机から離れた


離れたのと同時にサイコロが止まった

出目は

5 5 6

役は6


勝った


唯一突き破れる壁がシゴロかゾロ

見える先生の底

見える先生の心臓

狩れる奴の“存在・金・心“


行ける行ける

殺せる殺せる殺せる殺せる殺せる殺せる


「...」

「来たわ!勝ったわ!次は先生ですわ!」

「おっおう..わかってる」


ここで先生がインチキを使う

欲と傲慢と自信に掻き乱された奴の末路だ


まっまぁ私もイカサマを使うが...

これとあれは違う


先生は机に叩きつけるような勢いで投げた

サイコロはちゃんと回っていた

出目は

4 5 6

シゴロ


15倍づけか..


「...」

「...嘘でしょ..イカサマだわ」

「くくく..1億越えだ」

「...サイコロを見せて下さい先生」


私がそう言葉を放った瞬間

先生はものすごい勢いで机を蹴った

床にサイコロが転がり落ちた


「.......っち...良いだろう..すぐ返せよ」


私は床に落ちたサイコロを手に取った

一見普通のサイコロだ


重さも同じ

目も同じ


しかしだ..違和感がある

何だこの違和感

何なんだこの悪魔的違和感


投げ方か..投げ方なのか

手元を見たが不正は見られなかった


何かがある...この違和感

暴けなかったら死あるのみ

全ての計画がパー


振るか..降って確認するか


サイコロを私は強く握った


振る振る振る振る

このインチキを暴く


机に向かってサイコロ投げた


暴け暴け暴け


出目は

2 4 6

目無し


何よこれ


「ほらねイカサマなんかある訳がない」

「...そうかそう言う事か」

「なんだ?何を笑っている?何がおかしい」

「そうだな..何もおかしくは無い..」

「なら早く続けようじゃ無いか!ゲームを」


私は先生にサイコロを返した


インチキなど最初から無かった

サイコロには


手だ奴は手を使った

言わばマジックーーーッッ


くくく

殺す..絶対に

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