第1話 過去の記憶①

ハンター協会とイリーガルハンター協会との熾烈な争いが繰り広げられる中能力を持たない人たちや、弱い能力しか持っていない人たちはある程度平和に暮らしていた。

その中でも圓城寺陸という先週五歳になったばかりの子供は、とても恵まれていた。

容姿は天使と見間違えられる程美しく、家族にブラコンの姉と妹更には、自分に好意があるとわかる幼馴染までいるのだ。

しかし、そんな平穏な時間はある日突然尽きることになる。

「陸くんは将来私と結婚するんだよね~」

「違うよ、陸ちゃんは将来お姉ちゃんと結婚するの!」

「違うよ! お兄ちゃんは将来私と結婚するの」

そんな会話がとある公園中に響いていた。

更にそこに一人の男の子の声が加わった。

「みんな何してるの? 早く冷凍バナナ鬼ごっこの続きしようよ」

ちなみに冷凍バナナ鬼ごっこは一度捕まったら違う人からそれぞれ三回タッチして貰わなければいけないので、逃げが三人の時点で一度捕まったら負けである。

「陸ちゃん、今お姉ちゃん達は負けられない戦いがあるから先に帰って休んでてくれないかしら?」

「それがいいよお兄ちゃん、私お兄ちゃんにはいつもと違う私を見てほしくないの!」

「そうよ陸くん、陸くん疲れてると思うから先に帰って私の帰りを待ってる方がいいよ」

「僕ずっと捕まったままだったから、あんまり疲れてないけどわかったよ」

そう言って男の子は公園から出ていった。

「兄貴も帰ったことだし、派手にやるか」

三人の女の子の中で一番幼く見える子がそう呟いた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る