第3話「英語」

ここは、「朝日中央中学校」いい意味でも悪い意味でも人がいる学校だ。

そんな中でも、負けず劣らずの個性を持っている人がいる。

それは、マシンガントーカーの透と、人に好かれやすいという個性の恵弘である。

この二人は、何が起きようとも、何をしようともずっと喋っている。

文字通り、何が起きようとも。




二時間目に、問題の手ごたえがあまり悪くてあってる問題数が少なくて幻滅している二人だったが、次の教科を聞いて、二人は感情をあらわにした。

透は眼に光がともり、恵弘は、全体が真っ白になっていた。


今日の会話は、英語の時間。あの勉強ダメダメな透の得意な教科で、あの頭脳明晰(?)な恵弘の嫌いな教科である。理由は二人とも、「みんなの前に出るから・目立つから」だ。

英語の先生は、国語や数学の先生とは違い、アクティブな外国人の先生がやっている。日本語はある程度喋れて、透の英語がとてもいいと感づいて、いろんなところで話を透に振っている。

「Okey, good morning every one! let's start English class!」

「グッドモーニング..」

恵弘を含めみんなが声を低くして言っていた。

「GOOD MORNING! HOW ARE YOU!」

そんな中、透が先生に負けないくらいの声で質問を投げかけた。

「Thanks you tooru. I'm good 'cause you question me!」

と元気よく返答をした。

「みなさんも、元気出して、speaking、してください!」

「By the way. it's 『singging time!』」

先生は動画を開き始め、先生が好きな曲をかけた。

みんなは少し元気を出して歌い始めた。

一番盛り上がるタイミングに、透は大きな声を出して熱唱していた。

透はその曲が大好きで、いつもと旋律が違うところですら、本物顔負けの歌唱力で歌いこなしていた。

透のソロコンサートが終わり、自習に移った。

「透、ちょっといい?」

「いいけど?」

「どうやったらそんなにペラペラ喋れんの?」

「感覚でしょ」

「HA?」

「何でそこだけ英語なんだよ。まあいいわ。うち三歳のころから英語習ってたから、まあ感覚でわかるんだよねー」

透は鼻を高くして喋っていた。

「そんなん知らんよ...しかもさ、過去形ってなんで形が変わる奴と変わらん奴があるんだよ?覚えられんでしょ」

「パズルだよパズル。こう頭の中でカシャカシャって形を変えんだよ」

「お前大丈夫?」

「大まじめだよ。イメージしてみ?まずwatchから行くぞ?

watchの過去形って何だと思う?」

「ウォッチドでしょ」

「そうだね。どうしてそうなったん?」

「ウォッチにedを付けただけでしょ」

「そうだね。パズルやん。」

「いやいやいや。もうちょいなんか例ある?」

「あー、じゃあ...goはどう?」

「ゴードでしょ」

「アホやないの?wentだよ」

「なんでedつけないのさ?」

「不規則動詞だからだよ」

その言葉を聞いた瞬間、恵弘は頭にはてながポンポンポンと浮かんでいた。

「そんなん知らんわ」

「不規則動詞さ、なんかカードみたいながあって、それをひっくり返すようなもんよ。そもそも何で覚えるだけなのにさ、」

「得意不得意あるでしょ?マアシャアナイシャアナイ」

「Hi Ehiro. how are you?」

「アイ...アイム?あー.....ソーリー....」

「多分、そういう時には、Im fine って言えば、いいんじゃない、かな」

「アイム ファイン?」

「No no. Im fine」

「ア...アイ....Im fine....?」

「Yeah!!!その意気、です!Okay, Tooru? Please practice with Ehiro.」

「YESSER!!」

透が首を鳴らして恵弘を挑発した。


恵弘と透がみんなの前に出てくる。

この気迫、さながらボクシングだ。

「Hi! I'm Tooru. What your name?」

透からジャブが飛んできた。

「ア、アイム Ehiro. Nice to meet you.」

透のジャブを往なし、カウンターを決めた。

「Nice to meet you too」

これには透も受けるしかなかった。負けじと透は

「How are you?」

と、返しに困るストレートを出した。

「は?ア.... Im... fine?」

と図星のような反応を見せた。ここから透の連撃が押し寄せてくる。

「Oh sorry. I foget what a date today. Do you remember that?」

「は????」

顔面にストレート。

「What time is it?」

「あー its 11:00 AM 」

「damn, its 3rd period! I can't wait lunch! By the way, do you like lunch」

「んー Yes i do.」

「Oh you like lunch! What lunch do you like?」

「無理ー 無理なんですがー どうにか終わってくれー 神様ー?」

「Do You bereve god?」

透のラッシュに屈した恵弘は、最終手段に出たのだった。

「耳貸して?」

「Ok」

放送できない言葉を静かに言った恵弘

「OMG bro aw....」

キーン コーン カーン コーン.....





チャイム終わりのゴングが鳴ったことによって、第三波を乗り切り、教室に静寂が戻ったのだった。




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