雨に僕はいま。


まどろみを抱えて。


頬に落ちる水滴さえ、眠りを飲み込むことを知らない。


どれだけ手に留めておこうと握りしても。


水は透き通ったまま。


蒸発していく。


髪先から滴り落ちる雨がノートを濡らして。


僕はそっとノートを閉じた。


せめて、跡だけでも。


自分以外に記憶してほしかった。


まどろみの国の中。


此処とは違う別の場所。


僕の知らない王様の涙。

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