第32話:半翼人VS翼人

一夜が明け、私とアテナは関ケ原の高速道路入口料金所の上に立っていた




「もう一度確認ね。スタートはここの料金所からゴールの壊滅都市通行禁止エリアまで。高速沿いを飛ぶこと。どちらかがギブアップしたらその時点で勝利が決定すること。いいわね」




「わかった。それにしても本当に攻撃してこないとは驚いたぞ。約束を破るばかり思っていた」




「私が堅く禁止したからね。それにしても……」




私達が立つ料金所の横で、報道ヘリがホバリングして私達を映しているのだ




「まあこうなることは解っていたけど」




『ご覧の皆様、始まりました!全人類のために立ち上がったと言われてる赤の翼人と、全てを滅ぼそうとする白の翼人が今、400キロもの長距離レースに挑もうとしています!さあこのレースどちらが勝つのか!?ちなみに赤の翼人にはオッズ2.5倍、白の翼人にはオッズ4.6倍となっています』




どうやら私は翼人化したことにより関係者以外に正体がばれてないみたいだ




結局、昨夜から各自衛隊が動いたが、無国籍軍の姿はなしとリコリスが言っていた




そしてまさかの一番人気。この期待に私は答えなければならない




「さてと、じゃあ私が合図を出すわね」




「おう!」




「じゃあ!行くわよ!3、2、1ゴォォォォォ!」




翼を広げ一気に私たちは飛翔したのであった




速いと感じたのはすぐであった。いつもの空繰遊戯の約倍のスピードが出せている




その速度約160キロ。下で走っている車をどんどん追い抜いている




アテナを見ると楽しそうに併走している




能力は互角という事か




疲れも全く感じない




「ははっ!いいぞ!気持ちがいい!100年前はこんなに思いっきりスピードがだせなかったからな!」




アテナは左右に旋回したり、バク宙をしたりと大はしゃぎだ




しかし、スピードは一切落ちてない




自由に楽しそうに飛行している




既に駿河連合国の入り口に入ったが私とゆうゆうと並空してる




これが翼人の力かと驚く




普段の飛行少女は普通、全開で数分でしか飛べない




それは体内にあるサイコスフィアが限界を迎えて細胞内で暴走し、最悪破裂し、その影響で全身も弾けるからだ




それも踏まえてレース場では最大8000メートルしか設定されてない




あらためて翼人に怖さを実感した




南アルプスのインターチェンジに差し掛かるも差を離すわけでもなく、悠々に進んでいく私達




「もっとスピードを出してみないか!?」




そう言うと彼女の周りが白のオーラから赤のオーラを纏ってスピードアップする




「いいわよ!」




私も力を出し、赤のオーラを纏ってスピードをあげる




その速度約200キロ




それでも疲れを知らない私はもう人間ではないことを実感する




この高速度に対して視界が良好過ぎるぐらいだ




「さすが同胞だな。100年前は世界最高のスピーダーと張れるとは!」




「ありがと。どう100年後の空気は?」




「最高だな。地下に幽閉されて常に多量の催眠ガスを吸っていたんだ。だから今日の目覚めは最高だった!」




「そう、それはよかったわね」




「このレースというの考えついた奴は天才だな」




「元はあんた達が起こした厄災の復興の一環として始めたのよ。初めはスポーツとして、やがてギャンブルに絡んでいったのよ」




そう言いあいながら私たちは富士国(旧山梨県)に差し掛かっていたのであった








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