第33話:翼人の弱点
「残念だな。もうすぐレースが終わるとは……」
「だったらまた付き合うわよ」
「次か……次があると思うか?」
「そうね……」
勝ち負けに関わらず、彼女は再び封印されるであろう。
いくら不死とはいえ、完全武装した全国の独立飛行隊に囲まれ、自慢のシールドを割られ、麻酔銃で全身を打たれ、封印というまでがセットだ
「その時は、私が会いに行くわ。それで厳重な警備の元でまたこうやってレースしましょ」
「ホープ。お前、やっぱ変わってる翼人だな」
「私の言う事を聞いてくれるあなたがそれを言う?」
そして二人笑いあう
「Dr.イザナミは私を最高傑作だと褒めてくれた。もちろん、日本侵略に全力を注いだ。何人もの人間を殺し、いくつもの街を破壊した。全てはドクターの為に、お前もそうだったのだろ?」
「え、ええ。そうね」
「だがもう彼はいない。四天王によって殺された。そしてその四天王もいない。翼人の気配に動じて復活したが、いたのはお前だけだった。私はこのまま生きてもいいのかと疑問に思う」
「なら、私と友達になりましょう」
「友達?仲間とは違うのか?」
「こうやって一緒にお喋りしたり、競争しあったり、無理かもしれないけどデートしたり、それが友達」
「いいのか?私は……罪人だぞ?」
「罪人でも私達は同種族よ。それとも私ではご不満かしら?」
「ホープ……お前いい奴だな」
やがて相模国(旧神奈川県)IC付近に近付く
「間もなくだな」
「そうね、負けられたくないわ」
その時、私の気のせいか、アテナの身体が透けてるような気がした
「な、なんだ!私の……身体が……透けている!?」
速度が落ち、自分の両手を焦りながら見るアテナ
「何!?何が起こってるの!?」
私は並飛しながらアテナに近寄り彼女の身体に触れようとした
しかし、その手は触れることなく掴むことがない
「何で!何でなんだよ……。私が……消える」
「あんた不死身じゃなかったの!?」
「あ!ああ!もしかして……ドクターが言って……た。不死身を無効……化する方法」
アテナはとぎれとぎれに話し始めた
不死の代償はメリットだけではない。死なないので親しい者はいずれいなくなる。故に孤独という恐怖に包まれる。その時の為の自分で自害する方法。長い年月を得て記憶の片隅に片付けられていた方法
【心の底から楽しいと感じる事】
人造人間『不死身の翼人』を否定する最後のプログラム
「アテナ!」
「ホープ……この勝負……お前の勝ちだ。こんな私を……友達と言ってくれ……あり……が……とう」
「アテナァァァァァァ!」
脚から身体にかけてゆっくりと散り、そして最後には笑顔のまま彼女は完全に消え去ったのであった
『これはどうしたことか!不死身と言われたアテナが消滅!そして飛翔しているのは紅の翼人だけだ!つまり!これは!これは彼女の一人旅だぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
そして私は吸い込まれるようにゴールである崩壊都市を突破したのであった
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