第28話:封印されし翼人

「……夢を見たんです。封印されし翼人が復活し、それに対抗するもう一人の翼人を。その翼人は深紅の翼を纏い対峙していました」








「夢?あなたの場合は夢で未来予知をするの?」








「はい。私達予知能力を持つ者の半数は夢で見た事が現実になります。しかし、それは未来の話で明日明後日という近日ではないため使い所が限定されますが……」








「なるほどね。ところで先ほど封印されし翼人とか言っていたけどレイナの事かしら?」








「いいえ。レイナさんは非公式に生き延びていた翼人であって、政府がずっと隠蔽してきた翼人とは違います」








「隠ぺいしてきた翼人?」








「はい。政府は翼人はもう存在しないと言ってましたがあれは嘘です。不死身の翼人と呼ばれる者がいまして、その翼人は倒されないまま捕獲され、今も地下深くで眠っています」








「ちょっと待って!つまりその封印されし翼人が眠りから覚め、また厄災が起こると言うの?」








「はい。なので翼人化した貴方と翼人のレイナさんをこの戦艦内で確保して、厄災の際にはあなた方を利用するという算段です」








「深紅の羽と言うけど私のことよね。私がその不死身の翼人と戦うって事?」








「そうなりますね」








「私レーサーで戦闘知識皆無なんだけど……」








「それでも翼人化した貴方が切り札だと艦長は考えてます。それともレイナさんを戦わせるおつもりですか?」








その言葉にレイナがびくっと肩を震わせる








「馬鹿言わないで!レイナは私の花嫁なのよ。そんな危険な目に合わせるわけないじゃない。利用するなら私を利用しなさい!」








その時、艦内が赤く染まり、アラートが鳴り響いた








「なに!?」








「緊急警報であります!」








そしてカフェテリアの扉が開き、ツバキが現れた








「小鳥遊希望、レイナ・クロミ・ナタージュ、ザクロ曹長!今すぐブリッジに来てください!」












ブリッジに着くと巨大モニターに1人の空に浮かぶ少女が映し出されていた








長いギザギザの赤色の髪に漆黒のドレス姿。そして純白の大きな翼が生えていた








鋭い眼つきはモニター越しの私達を睨んでるかのようだ








『諸君!我は翼人四天王の1人、不死鳥アテナである!!実に100年振りであるな人間ども!!』








よく通る声が艦内を響かせる








『我を殺せぬと判断し封印した事は褒めてやろう!だが!だが!だがしかし!それで平穏が永遠に維持できたと思ったのか!?薄暗い海の底に沈めたからと言ってこの100年の貴様らの暮らしを聞けないと思っていたのか!?否!この100年間!我は聞き続けておったぞ!退屈で!退屈で!退屈で仕方なかった!暇!暇!暇!暇過ぎたのだ!』








怒声がさらに艦内を響かせる








『さあ人間どもよ!遊ぼうではないか!!100年も身体が動かされなかったのだ!思いっきり身体を動かしたいのだ!そしてー私を満足させてくれよ!』








「ホープ……あいつ怖い」








レイナが震えながら私に抱き着いてきた








「艦長!アテナの存在位置が判明しました!関ケ原レース場の真上です!既に周辺の民間人の避難誘導が行われてます」








「近いな……。これは偶然なのか?第一防衛隊、今すぐカタパルトにスタンバイしておけ!」








「了解。第一防衛隊はカタパルトについてください!」








「無国籍軍の動きは?」








「現在調査の為、全航空自衛隊の戦闘機が緊急発進しています!」








「わかった。皆よく聞け!我々はこの日の為に訓練を行ってきた!独立飛行隊の底力見せてやれ!検討を祈る」














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