第27話:翼人化と予言者
軟禁生活から数日過ぎた
当然、予防薬を飲んでない私達の背中に翼が生えたのであった
「ホープ……ごめんなさい……」
不安状態となっているレイナはベッドの上で私を抱きしめ、離れようとしない
時折、私の首筋の匂いを嗅ぎ、ついばむようにキスをしてくる姿がとても愛おしいと感じる
「気にしないで。……凄く不安な気持ち、伝わってるから……」
私よりも先にこの戦艦に捕らえられていたレイナ
独立飛行隊は初めから気付いていた
レイナが翼人である事も、私が濃厚接触で半翼人となった事も
ナタージュ家の隠蔽工作も無意味だったわけだ
あの時、解っていて私を連行して尋問したのも、先に捕らえたレイナを大人しくさせる為の行為であり、リアルタイムで映像を見ていたレイナは不安でいっぱいだったそうだ
「ねえ、レイナ。ラウンジでコーヒーでも飲みにいかない?私、喉乾いちゃった」
半分嘘である
翼人化した私に起こった副作用
それは空腹が一切こなくなった事である
これはフィオナさんから聞いてなかった事だから驚いた
だが、このままいくとレイナの依存度が高くなりすぎる為敢えて離れさせる口実が欲しかった
「……うん」
ふわっと寝た状態からレイナを抱えたまま浮き90度傾け床に着地する
飛行少女のは出来ない細かな重力制御に感心しながらもレイナの手を引き部屋を出る
身体に埋め込まれたGPSのおかげか、監視の目もなく、私達は艦内をほぼ自由に行き来出来る
そしてスマホの使用が珍しく制限されないのも意外だった
軟禁された当日に私は先輩やイーグレットだけに電話越しに真実を語った
2人ともかなり驚いていたが、レースでのチート行為を咎めるわけでもなく本気で心配して来たのが意外だった
そして先輩に今回の失踪状態を公にしないように働きかけてもらった
本当に先輩には頭が上がらない
あとはルミナスだが、何故か連絡が着かない状態であり、不安だ
ラウンジに着くと少数の独立飛行隊の少女達がくつろいでいた
軽く手を振ると気さくに手を振り返してくれる
ここにいる部隊の少女達は恐れをしらないのか、恐怖の対象と言われている翼人にフレンドリーに接するので拍子抜けしたものだ
ただしツバキは例外で親の仇のように私達を睨む
ドリンクバーに向かい、2つのカップに砂糖とミルク入りコーヒーをボタンを押し注ぐ
「はい。砂糖マシマシよ」
「ありがとう……」
一口飲む
味は感じる。だが、喉が潤うとか、そういった感じは全くない
「失礼します!」
ふと幼いツインテールの少女が私達に声を掛けてきた
空色の制服の上から薄暗い紫色のローブを羽織っている
「私はザクロ士長であります!」
容姿と背の高さからしてレイナよりも年下に見える
「へー、あなたが噂の予言者ザクロちゃんね」
「はい!予言者です!非戦闘員で今は休憩時間なのでラウンジに入ったところ、お二人をお見掛けしたので声を掛けたのであります!」
そう言って、ザクロは私達の対面に座った
「私達に合う事は予言出来たのかしら?」
「いいえ。私の予言はほぼ当たりますが、短いスパンでの予言は不可能です!なのでお二人に会ったのは偶然であります!」
そう言って、じーっと私達を見るザクロ
「翼人がそんなに珍しい?」
「はい!研修用映像でしか見た事がないので!」
「怖くないの?」
「はい!我々独立飛行隊は翼人に対しての実戦経験はありませんので!それに二人ともとてもきれいです!」
「ありがとう。お世辞でも嬉しいわ」
「……」
レイナは先ほどからずっとコーヒーを飲まず私の腕を掴んで抱き着いている
「ところで予言者さん。私達は厄災の再来に利用されると言われたのだけどどういうこと?」
私は艦長の言っていた言葉を思い出し、彼女に聞いたのであった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます