第14話:衝撃の事実

【後楽賞レース結果】


1着ルミナス


2着ホープ




更に地面に墜落しそうになった直後、勢いよく方向転換してきたルミナスによって私は抱きかかえられ衝突は避けられたのであった




「完敗だわ……」




レースインタビュー後、私はレイナに膝枕をされながらそう呟いた




場所はレース場から離れた場所にある公園




そこにあるベンチにレイナが座り、私はレイナの膝を枕にして仰向けに寝転んでいた




「凄いじゃない。この私相手に善戦するなんて。さすが、私の見込んだ飛行少女ね」




ルミナスが頬を微かに赤らめながら微笑んでいる




「うん、ホープえらい!」




そう言ってレイナが頭を撫でてくれる




「ところで体調はどうかしら?」




「少し眩暈が残ってるって感じね。……正直、世界の壁が厚いって事を痛感している」




「安心なさい。私に付いてこれたんだからその壁は薄いわよ」




「うん!ホープなら世界に通用出来る!私が言うから間違いない!」




「ありがと、二人とも」




「さてと、じゃあ私はお母さまに今日の事の報告をしに戻るわね。じゃあ、二人ともまたね」




そう言ってルミナスは去っていったのであった




しばらくして、眩暈がひいた




外はすっかり薄暗くなっており、人影はなく起き上がると外灯に照らされた花壇が美しく照らされていた




「さあ、宿に戻りましょうか、レイナ」




「う、うん」




レイナは顔を赤らめて頷いた




「どうしたの?」




「えっとね、ホープ。キスして欲しいって言ったらダメ?」




「おおっ!本当にどうした!?」




「あいつがホープを助けようとしてお姫様抱っこしてたじゃない。その……助けたから抱き着いたのは解ってるんだけど、でも何かもやもやするの。だからホープ、チューして」




何この可愛い生き物!




「うん、いいよ!」




そう言って私はレイナを優しく抱きしめ、唇にそっとキスをした




「レイナ、可愛い……」




「ホープ……」




顔を真っ赤にして上目遣いで瞳を潤ませるお姫様に目を瞑り、もう一度キスをする




本当に、可愛い。私だけの天使




と、その時彼女の背中が温かさを感じた




元々、子供の体温のように温かいレイナだったが、それにしては温か過ぎだ




違和感を覚え、目を開けると彼女の背中から天使のような半透明のレモン色の翼が見えた




「え?」




「あ……」




「え、えっとレイナ……その翼は?」




彼女から身体を優しく離し、よく見てみる




その翼は背中から微かに分離しており、浮いていた




そして、彼女の顔が赤くなると同時に微かに揺れ動く




「お薬……飲んだのに」




「薬?」




「うん。えっとね、ホープ。これは皆から言うのダメって言われたけど、私ね【翼人】らしいの」




観念したかのように、悲しそうな顔でレイナが告白してきた




【翼人】




かつて日本に厄災をもたらし、国土の三分の一を壊滅させた文字通り背中に翼の生えた人種




その正体は人工的に製造された人種であり、その創造主が復讐の為に大量生産し日本を恐怖のどん底に陥れた




もはや絶滅したと思われていた人造人間が、100年の時を経て存在していたとは驚きである




「そうだったのね」




私はそう言ってレイナを再び抱きしめる




「ホープは私が怖くないの?」




「驚いたけど、怖くはないわ。だって、私にとってレイナは私の恋人。そして、生涯一緒に生きる伴侶よ」




そう、恐怖などない。もしレイナが100年前の翼人ならとっくの前に私の事を殺しているはずだし、こうやって恋人同士にならないはずだ




「ホープ!……ありがとう」




そう言ってレイナは泣き笑いながら私を抱きしめたのであった




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