第2話:婚約者の条件

「ええぇぇぇぇぇぇ!婚約を破棄しろですって!?」




「そうです。解りましたかホープさん」




ナタージュ邸の応接間に私の声が響き渡った




私は今、応接間にいるレイナの母親フィオナ・ナタージュの衝撃な言葉に驚愕したのであった




「いやいやいや!まってくださいよフィオナさん!確かに私は、貴方の一族がレイナ除いて嫌いですが、それを踏まえて婚約を承諾してくれたではありませんか!!」




「そういったお世辞もなしにずけずけと言う態度、嫌いではありませんよホープさん。ですが、このままでは婚約はなしという形となります」




そう言ってフィオナさんは紅茶を飲む


一児の母親とは思えないほど若く見える美女


綺麗に肩まで伸びた金髪は整えられ、真紅のスーツを身に纏っている




「このままでは?」




「ええ、オーストリム社をご存じで?」




「大手製薬会社で、私達が出ているレース『空繰遊戯からくりゆうぎ』のスポンサーですよね?」




「ええ、そのオーストリム社からお見合いの話が出ましてね。お相手は社長の息子」




「お見合いって……まさか、先約の私を蹴ったのですか!?」




「もちろん、断りましたよ。私達一族はあなたが嫌いですが、娘はあなたの事を大変気に入っていますからね。ですが、オーストリム社は納得してない様子でしてね」




「収入不安定の賞金首とお嬢様の婚約は張り合わないとでも?」




「いえ……確かにホープさんは毎月の収入は波があります。ですが成績は優秀に近く、関ケ原レースに出れる実力もありますが……オーストリム社は納得してないのです」




「納得してない?」




「ホープさん。貴方は関ケ原レースを辞退されたようですね?」




「ええ、実力がギリギリなので。それだと賞金が稼げないと思いまして」




「その意欲があちら側を少し怒らせたみたいなのですよ。実力のある飛行少女が、目玉である関ケ原レースを辞退した。神聖なるレースを侮辱しているのかと」




「侮辱だなんて心外ですね。まああの時はうまくお茶を濁したのですが……」




「濁した方が下手です。向こう側としては、そんな中途半端な飛行少女よりも、うちの息子と婚約をしなさいと連絡が来ましたの」




「そんな卑怯な事!大体、婚約予定の野郎の意思とかどうなってるんですか!?」




「かなり好みだったらしく……今すぐにでも婚約したいと。先ほども言いましたが、私は反対です。なのでホープさん。今すぐ関ケ原に挑む事を決意し、レースに出てください。優秀な成績を残せば、オーストリム家は婚約を諦めるでしょう」




「……解りました。無茶な要求ですが、好きになった人を渡したくはありません。このホープ、只今を持ちまして関ケ原に参戦する事を誓います」




「いい返事ですね。ありがたくそのお言葉を受けさせて頂きます」




「ちなみにその息子の年齢は?」




「年齢は確か22歳でしたね。ちなみに息子さんも超能力者ですよ」




22歳って……15歳の私より大分歳上じゃない!




「ロリコンじゃないですか!?レイナはまだ13歳ですよ!?」




「ええ、ですのでこの婚約を阻止して欲しいのが私の本当の願いです。私は娘の幸せを第一に考えています。なので、貴方には残酷な話ですが本気を出させて頂きます。悪く思わないでくださいねホープさん」

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