中世的魔法少女VS迷惑系配信者
中世の魔法、その多くは錬金術と呼ばれるものだ。
現在METUBEという大手配信サイトにてダンジョン攻略を配信する者が増えてきている。中には悲惨な事故が起こり・・・削除される動画もある。
大量の時間と命を削って、金に変え続ける彼らは正に現代の錬金術師である。
そのなかでも特に命の方を燃焼させる錬金術師の鑑は迷惑系配信者と呼ばれる。
彼らの飯の種は専ら人々から顰蹙を買い漁り、それを心待ちにする温かい人情によるもので・・・今や暴走気味なのである。
そう、今初めて――中世錬金術と現代錬金術との決戦が行われるのである―――
「俺の使命――つまり俺達の命の輝きが比べられるってコトだ。
そしてランラン〇ー・ボンジュールMETUBE、えにしもんです。」
「迷惑系なのにセリフが無駄にかっこいい!!そしてえにしもんはダサい!」
「ええ、今日はね・・・ダンジョンで爆発石使ってみたという迷惑企画です!」
「やべえ企画ッ!!そしてダンジョンでやるなそんなこと!」
えにしもんは既にチャンネル登録者15万人を超える人気迷惑系配信者。
そう彼もまた炎上を繰り返す・・・いや炎に愛された錬金術師なのである。
そしてこの爆発石とはダンジョンの宝箱でたまに出現する爆発系アイテムである。
ただ一ノ瀬も魔法少女的な扱いではあるので変身してる間は一応カメラには映らないしという配信対策として一つの武器があった。
「てか、なんだあの変な格好の女。まぁそんなことより投げてきまぁ~す!」
「―――待てッ!!爆発したらうるさいからやめてっ!!千代田区の平和はボクが・・・!!」
:迷惑配信wktk
:え?これ誰の声?
:誰もいないのに声が響いてる!?透明人間?
:あれ爆発しない
:不発かよつまんねえ
:いや、軌道が微妙に変わってる
:金色になってるwwwww
配信チャットは荒れに荒れていく。
そして透明美少女一ノ瀬はギリギリで爆発石にタッチできたようだ。
ボトリと地面に落ちる金塊はえにしもんの運命を予言していた。
「おっ、お前なにをしたッ!!変な格好の女!!」
「いや変な格好は余計だわっ!!仕方ないでしょ!!」
中世錬金術少女はえにしもんに大人の理解を求めた。
しかし、えにしもんは人に不快感を与える……精神攻撃の使い手だった。
ある意味この魔法少女にとっての一番の強敵だった!
「いや・・・仕方なくは無いだろ。」
ネットの海を泳いできたえにしもんは強い。
こういった状況でも適切なマジレスをかませるのである!
「やりたくてこんな格好するヤツなんていないよ!」
「爆発石のカネ返せよッ!!お前、トー横で働いてでもかえしやがれッ!!」
「いやもうちょっと治安良いところで働かせてくれよッ!!そして爆発石のお金はだせないよ・・・人に迷惑かかる状況ではそれ使っちゃダメだよ?」
そう、一応ダンジョンの中でもマナーがある。
特に報告されるとダンジョン協会から特別な処分が出されることもあるのだ。
「とりあえず中世的魔法『ガラスの靴』『白馬化』」
『ラジャ。ワタシの出番ねっ』
妖精のフレアはあっという間に巨大な白馬の姿に変わり、えにしもんに近づく。
すると彼は急に現れた白馬への驚きから体を後退させようとするも、摩擦力がいきなり変わったコトによりすっ転んでしまう。
「距離に入ったね。陰陽術『昏睡の術』―――」
白馬は大きな口でえにしもんを咥えると、一ノ瀬を背に乗せてダンジョンの出口へと向かう。その後、フレアは白馬の姿のまま配信カメラとともに探索者協会に届けるて職員をおどろかせると―――ちょうど昼の12時に霧散した。
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