東京騒乱編
【新章・初話】中世的魔法少女:一ノ瀬の場合
一ノ瀬芽衣は陰陽師三大名家の生まれである。
一ノ瀬・二宮・三条と続く日本最高の陰陽師の系譜なのだが、陰陽師にとっての主な武器となる式神を呼び出す『召霊の儀』に失敗してしまう!
謎のぬいぐるみのような生物を召喚し、実家を勘当されたのだ。
ちなみに家の方針で男として育てられた為、今ではすっかり一人称のボクが染みついてしまっている所謂ボクっ娘なのである。
その生物の声は普通の人間には聞こえないらしく、姿も見えないらしい。
婆やの計らいで確保された最低限の衣食住とともに、生活をしているのである。
『ねぇ、無視しないでよ。』
謎のぬいぐるみが話しかけてくる。
黒い耳をしたウサギを模した可愛らしい外見なのだが、どこか不気味さを感じさせるソレはずいぶんと陽気である。
「無視もするよっ!実家を勘当されちゃったんだから!」
可愛らしい少女こと一ノ瀬はちょっと怒って反応する。
このヘンテコな生物のお蔭で儀式は失敗したのである。
『ワタシは妖精のフレアだよ!
あなたは妖精神様から直々に魔法少女として選ばれたの!』
「いやしつこいってば!ボクは陰陽師だから!
そして何より・・・世界観狂ってんなぁっ!!」
『いや世界観・・・とか言われても・・・
ワタシは使いで来ただけだから。
ほら、このステッキを使えば魔法が使えるんだよ。』
そう言ってぬいぐるみはステッキを差し出してくる。
「いやいかにも・・・女の子って感じのステッキだけど。
なんかラメとか入ってるし・・・これ誰の名前?」
『あっ・・・それは前使ってた人の・・・
ゴホン、消しておこうか。それっ!』
そう妖精が言うと書かれていた「まなか」という文字が消える。
流石に一ノ瀬も少し驚いたようだ。
「というかさ、魔法・・・
魔法少女っていうのは普通ビームとか出すヤツだよね?
ボクは陰陽術しかできないよ・・・?」
『ビームとか憧れちゃった感じぃ?
できないね!できないできない。絶っっ対に出来ない!』
「なんで四回言ったんだよっ!
ちょっと腹立つんですけどっ!!」
『何度も言うけど、このステッキさえあれば魔法を発動できるんだよ。
キミが使える魔法は・・・『中世的魔法』。
具体的にはね・・・“ほうきで空を飛ぶ魔法”・・・
あと”触れた物を金に変えられる魔法”・・・あとそれから・・・』
「いや中世ッ!!
使える魔法がめっちゃ中世なんだけどっ!
あと“的”ってなんだよ!統一してよっ!
そんなので戦うつもりなの・・・?正気・・・?」
『うん、コレで千代田区の安全は守れるわね。
立ち上げれ!魔法少女よ!愛すべき千代田区のために!」
日本や世界の為では無く“千代田区のため”といういまいちピンと来ない大儀の元、魔法少女・一ノ瀬芽衣は誕生したのである。
それからは色々な人を救い、謎の空飛ぶ爺さんに追いかけられながらもバタバタした魔法少女生活を送っていく事となった。
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