【ダンジョン開幕編・最終話】????
荒廃した大地に聳え立つ巨大な城の前には二人の男が対峙していた。
一人は野性味をおびた屈強な男で、もうひとりは知性を宿した顔の眼鏡をかけた美麗な男である。
「よお、また戦いを仕掛けにきたのか?
今のお前じゃあまだ勝てねぇよ・・・もうちょっとスキルを盗んで来い。」
「ふむ、そうですね。今の私では勝てないでしょう。
しかし今日は話です・・・・“『怠惰』と『嫉妬』がいない理由”について。
あなたの言っていた“ユニークスキルの上の可能性”にも・・関連がある。」
「ほう・・・興味はあるなァ。
長き時を生きていれば、その内大罪系スキル所有者は必然的に出てくるはずだが・・・もう300年は見ていないな。」
「私の予想では異世界にいるのでは?・・・とね。」
屈強な男は思わず笑い声を漏らす。
「ククク・・・荒唐無稽とも言い難いなァ。
にしても異世界と考えるにはそれなりの理由があるんだろうな。」
「前に勇者召喚が起こった時に多発した自然災害、魔物達の活性化。
世界には
それが異世界にも通じた概念なのでは無いか?ということです。」
「・・・お前の言う通りならその異世界とやらは『嫉妬』と『怠惰』に溢れた世界だってことになるんだろうぜ。
他人の成功体験がずっとすぐ近くに見え、時間を消費し続けるような・・・
いい平和な世の中じゃねえか。
異世界の事情なんて知ったことじゃねえがな。」
自嘲するような皮肉めいた口調で男は言う。
モンスターの肉を食らい生きるために皆明日を凌ぐような、それでいて格差の大きい世界では傲慢、暴食、強欲、色欲、憤怒の文化が発達していた。
「そう言うと思いましたよ・・・・あなたという人は。
本当に厄介なものです・・・
特に私たちの様に契約でようやく生きているような存在にとってはね。
ただ、魔王リドルが『異世界ダンジョン化計画』というのを進めてるらしいので忠告しにきただけです。」
「そりゃあどうも。
ただ、契約のストックが切れるのはまだ当分先だろう?
だが・・・オレ様は強いヤツと戦いたいだけだ。
その計画が事実なら“世界のバランス”が崩れる可能性がある。
この世界に七つの大罪スキル全てが揃う完璧な時代が復活するのかもなァ。」
「フフフ。そうなったら愉快ですねぇ。
しかし、魔王リドルを放っておいていいんですか?
七つの大罪系スキル最強と呼ばれる『
戦わない理由なんて無いのでは?」
「ククク・・・オレ様がビビッているとでも?
最強ってのはなァ、使うヤツによるんだよ。
『
“凡人の兵器”と揶揄される魔法の超強化ってのは笑える話だ。」
「確かに、妖精神並みの空間魔法は恐ろしいですがね。
傲慢である為には誰よりも努力を要求される。
大罪系スキルにはやはり・・・どこか意味をもったものがある。
魔法というのはユニークスキル込みで、ようやく使い物になる。
特に我々のような者達には・・・ねぇ。」
二人の男は悪魔のように嗤いながら各々の方角に消えていった。
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