睡眠と夢
『レベルが上がりました。』
「いつもの天井・・・」
真上には見慣れたいつも通りの白い天井。
俺はレベルアップ通知音とともに目覚めた。
深夜三時・・・ふむ、うんざりするなレベルアップ。
今日も不思議な夢を見た。
ぼーっと寝ぼけた頭に焼き付くように記憶が鮮明にフラッシュバックしてくる。
豪華に彩られた巨大な城・・・
母さんとお父さんがいて妹の雷華もいて・・・
メイドや屋敷に使える家臣達が俺にニコリと笑いかける。
お父さん・・・?
お母さんは女手一つで俺達の事を育ててくれたはずだ。
ん・・・記憶が混濁しているな。アニメの見過ぎか・・・
『ユニークスキル『
『ユニークスキル『
いや嬉しかねぇよ!!アニメ見ててもいいだろ別に!
めちゃくちゃ馬鹿にしてるじゃねーか!!
なにがエスケーピズムだよっ!
ネイティブに言ったとこで結局、現実逃避だろ・・・
スキルに馬鹿にされた人間なんて史上初じゃないか?
わざわざ深夜に起こす事もないのに・・・レベルアップさんも。
◇◇◇◇
「凛。どうしたの?こんな時間に。」
変な時間に起きてしまったので、リビングに出てみると遅すぎる晩御飯を摂っている母さんがいた。
テレビを小さい音でつけて見ながらご飯を食べているようだ。
「なぁ、母さん。最近寝てないんじゃないか?
家計で大変なのは分かるけど・・・少し休んでもいいんじゃないか?」
静かすぎる深夜の食事はそれだけで心配を誘った。
「いいのよ、凛ちゃん。お母さんね、寝溜めができるタイプなの。
不健康そうには見えないでしょ?」
確かに母さんはいつもの健康そうな容貌を保ってはいたが、それでもやはり睡眠不足は確実に体にダメージを蓄積するのであまり認めたくは無かった。
「いや、流石にそんないつも遅いのは・・・俺も最近ダンジョンで稼いでるし食費とか生活費はそれで大丈夫だからね?」
「凜ちゃん。勘違いしてることはなんとなく分かってたけど・・・・本当にお金に困ってるわけじゃないのよ・・・ちょっとやらなきゃいけないことがあって遅くなってるだけなの。」
「お母さんが子供の事を差し置いてまでやりたい事って・・・?」
俺は恐る恐る聞いてみる。
呼吸は少しリズムを失っていた。
「"やらなきゃいけない"コトよ。そこだけはちゃんと分かっててもらいたいわ。」
『番組に寄せられた映像によりますと、今から一時間前に空を高速で飛ぶ人影が浮かび上がっています・・・。
これはどういう事なのでしょうか?未確認生物の専門家・小鳥遊秀樹さんをお呼びしています。』
『これは、新手のUMAですね、空を飛ぶ人型の・・・という事はUMAの可能性が極めて高い。ダンジョンが誕生した今、UMAも世迷言ではないのです!
宇宙人の可能性も否めない。神は存在したのです!』
『世間では・・・スキルを得た人間なのでは?という意見も多いのですが今のところそのようなスキルは確認されていないとのことです。』
ふざけた深夜番組だな。
ん・・?なんかあのシルエット妙に見覚えがあるな。
流石にグランじゃないよな?ちゃんと"目立つからあんまりダンジョン外で魔法使わないで"と注意したし・・・
てか専門家適当すぎるだろ!そんなの素人がいうのと変わんないじゃないか!
専門家ならデータと数値を少しは使って話をして欲しいものだ。
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