異世界の事情
「ふむふむ、ひとまずリン様は自然にレベルが上がるスキルで睡眠を妨害されていて、対処法を探してダンジョンに来たということじゃな?」
俺の眷属となったグランは渋い声で唸るように言った。
「様ってのはいらないよ。高校生だし。」
「今や、おぬしは儂の主なのじゃ。そのことだけは自覚してもらわないと困る。」
主としての責任か・・・これはやりにくいなぁ。
まぁでも、上手くやっていくっきゃない。
そうしてきたんだ今までも。
「わかったよ爺さん・・・いやグラン。今日からよろしく頼む。」
俺達は随分と力の入った固い握手をする。
ライムがプリプリと嫉妬していて可愛らしい。
「で、グラン聞かせてもらうぞ。お前は誰でどこから来たんだ?」
俺は真剣な目でグランを見つめる。
まずは情報収集だ。
魔術を使える異世界の住人だと想定しているのでダンジョンについても、今一度聞いておきたい。
信頼関係をここから築いていくんだ。
「今一度名乗ろう。儂の名はグラン・アルベルト。世の人々には賢者と呼ばれていた。」
賢者ねぇ。
筋肉質な渋い爺さんが賢者と言われても・・・・
とはいえあんな超魔術をバンバン放ってくるような世界じゃ恐ろしくて寝れないからまさしくこの男は"賢者"なのだろう。
「で、賢者様はどうして地球に?」
「儂はこことは違う世界、所謂異世界で『冒険者』という魔物を狩る専門の仕事をしていたのじゃ。
それで友人の薬師を探すためにダンジョンに入っていたのじゃが、そこにヤツ・・・・魔人ゲルドがいたのじゃ。
儂はそこで殺されたが・・・そこで保険が発動した。
それが万が一死んだ時に下位のアンデッドとして蘇生する秘術『
魔人ゲルド・・・戦闘中そんなこと言ってたな。
しかも殺されるなんて穏やかじゃない。
「ボス・ワイトは下位のアンデッドなのか?どうみても上位の魔物っぽい名前だぞ・・・?」
「その通りボス・ワイトは上級モンスターじゃ。
なぜ下級の魔物にならなかったのかは分からぬ。
そもそも儂でもこんな術は使えない。これは儂がたまたま武功を立てた時に見返りとして施して頂いた秘術なのじゃ・・・十中八九強力なユニークスキルじゃろうな。
魔法ではこんなこと不可能じゃ。」
見返り?
アンデッドになっちゃうんじゃ良くないじゃないか・・・
にしてもボス・ワイトとして蘇ったのは偶然なのか?
この賢者もたまたま武功とか言っちゃって・・・どうせ俺TUEEEしたんでしょ?
というか俺の想像通りの世界なんだな異世界。
一度は行ってみてもいいかもな。
なんて、これだからいつも危険な目に合うんだ俺は。
睡眠不足で十分な思考を損なっているかもしれない。
「魔人ゲルド・・・・なんか強そうな名前だな。
ともかくそいつが無理やりグランを眷属にしたというわけか。
ということは少なくともグランよりは強いってことか?」
「そうじゃな。魔人ゲルドはおそらく催眠系のユニークスキルを持っている。
そしてユニークスキルは種類が多い上強力じゃ。よって何で機能するのかわからんのが厄介じゃ。儂の知っている催眠系スキルはレベル差で機能していたが・・・。」
催眠?!最近のエ●ゲじゃないか!!
レベルの低いヤツをいきなり眷属とか・・・クソゲーにも程がある。
そういえば眷属をつくる俺のスキル『
「魔人ゲルドの種族は一体何なんだ?あと一体どんな種族がいるんだ?」
俺はなんかちょっとワクワクしてきたので聞いてみた。
エルフの綺麗なお姉さんとかを想像させてもらいたい。
「魔族じゃ、儂の住んでいた異世界では一般的な種族じゃな。他にも人族、エルフ、ドワーフ、獣人がいたのう。」
「なるほどな、事情は分かったよ。ただそのゲルドってヤツはどうしてこの地球にダンジョンを設けたんだ?」
「わからんのう。・・・・ヤツがそもそもダンジョンを作れるのかすら怪しい。
ただ、ゲルドのヤツはユニークスキルを使わずに儂を倒し、儂に催眠をかけた。
それは事実じゃ。」
魔人ゲルドとやらの強さも大概のものだが・・・裏に誰かいるのか?
まぁやる事は変わらない。安眠を確保する為に俺は今日も迷宮を探索するだけだ。
『レベルが上がりました。』
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