親睦

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 名前:グラン・アルベルト

 レベル1292

 種族:死霊公ワイトロード

 称号:『賢者』

 技能:ユニークスキル『魔導の極み』

    スキル『死霊統率』『全言語理解』

 耐性:『攻撃魔法』『物理攻撃』

 攻撃:9800

 生命:8420

 魔力:∞

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「嘘だろ・・・・・・・・・・・・?」


 ◆『魔導の極み』:無限の魔力、全属性魔法を使用可能にする。

 ◆『死霊統率』:知恵の無い死霊系モンスターを生成し統率できる。

 ◆『全言語理解』:多国語から魔導言語まであらゆる言葉が翻訳される。


 チートすぎるだろ!どう考えても・・・・

 しかも『全言語理解』とか英語が読めない俺の事を嘲笑ってるとしか思えない。


 ・・・・まぁそれは寝てた俺が悪いか。


 ゴホン、ともかく骸骨じゃなくなったんだからちゃんと話してもらおう。

 なぜワイトになったのか?そして、どこから来た何者なのか?


「グランさん・・・あの・・・そのスケルトン達ってどうにかなりません?」


「わかったのじゃ。スケルトン達、消え失せよ!」


 するとグランの死霊を生成するユニークスキル『死霊統率』が解除され大量のスケルトンが霧散した。なんか一斉に消えたのでちょっと快感だったな。

 

 戦闘中動かなかったのは、グランの魔術の腕が凄すぎて単体で戦った方が強かったからだと思われるが・・・スケルトン達も戦略に使っていきたい。

 また必要な時に生成して戦ってもらう事にしよう。


「聞きたいことはいっぱいあるが・・・・とりあえず昼飯だ。

 ライム~、前『胃袋』に収納したキャンプグッズだしてくれ!」



「キュイッ!!」


 ライムが出してくれたのはお年玉を貯めて購入したアウトドア用グッズ達。

 ライムのユニークスキル『胃袋』はこういう時に便利だし、時間の経過を防げるから劣化もしないので保存にもってこいだ。


 BBQ用セットとホームセンターで買った黒炭とそれからスーパーで購入したBBQ用生鮮肉。

 バーベキューソースといちおう海鮮系の食材も用意した。

 つまり最近、ダンジョンの収益を知って調子に乗ってるってことだ。

 

 ・・・・で、でも、お肉でタンパク質とらなきゃいけないし!!

 ・・・・自重しないとな。


 というかそもそも凛は寝る事好きな所謂変人だからか、ダンジョンでBBQする事になんの躊躇も無かった。



 「まずは・・・炭に火をつける。」


 なかなか苦戦したものの、上手くついた。

 こっから金網が温まったら・・・いい具合に脂の乗った肉を投入。

 熱された金網に肉を近づけると、ジュッ!っと音を上げて瑞々みずみずしい肉の水分が熱気に奪われていく。

 脂もいい感じに熱い金網を伝って零れていって食欲をそそられる。


「じゅるり・・・」


 見ているだけで旨そうだ。

 勉強に忙しい妹の雷華が時間を作れたら一緒にやるのもありだな。


「はい、これライムとグランさんの分ね・・・」


 ライムは食事する必要は余り無いのだけど、最近は良く食べる。

 スライムの食性なんぞ分からず・・・なんか可愛くなってつい人間の食い物あげちゃうけど大丈夫だよな?・・・・『状態異常』の耐性あるし。


 焼けた牛肉とタレの光沢が既に旨さを物語っている。


「なんじゃ・・・これは!!」

 グラン・アルベルトこと爺さんは目を輝かせて感動に打ち震えている。

 はじめて口にした食感の牛肉は口中に幸せを運ぶ。

 バーベキューソースの濃厚なコクと柔らかい牛肉は凄まじい程の適合をみせ、とてつもない威力を発揮した。

 脂もしつこすぎず、むしろサラッとした上質な肉の旨味を体現している。


「口にあったか?賢者様。」


「・・・・・・・・」

 

グランの爺さんは口を開けてポカンとしてしまっていた。

凛は慣れたように肉を自分の分の串を紙皿によそい口にはこぶ。

・・・すると、腹の減りがスパイスとなり強烈な旨味を呼び起こす。


「うまい!!何だこれは・・!一苦労した後の飯はこんなに美味いのか!!」


 新発見だった。・・・いつもは寝ていたから気付かなかった。

 不動の1位「夜寝る前のカップラーメン」に次ぐ二位にランクインだ。


 いや・・・一番は妹と母さんの手料理かな。やっぱり愛情ってやつは偉大だし。


「ライムも良く食べるんだぞ~よしよし」


 ライムの紙皿によそると、ライムはユニークスキル『変幻自在』で手っぽいナニカを作り出し、串から器用に肉を取り外して食べる。


「キュイッ・・・・・!!!!!!」


 ライムも肉の美味さに衝撃を受けているらしい。

 すると、ようやく賢者・グランは自分の世界から帰還する。

 

「少年、こんなものは食べたことが無い。礼を言おう。少年の名は何だったかな?」


「凛だよ、天瞳凛てんどうりん。高校生なんだけど・・・最近満足に寝れなくてダンジョンに潜ってるんだよ。」


「寝れなくてダンジョンに潜る・・・?聞いた事がないぞ、そんなの。」

 

 クールなイケオジであるグランは随分と困った顔をする。


「いや・・・なんていうか説明し辛いんだけど・・・・」


 ひとまず俺は身の上を魔術師グラン・アルベルトに言って聞かせてみる事にした。


 

 


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