二階層

「ふぁぁ~眠い。」

 有能な相棒を得た俺は早速2階層に降りると、うじゃうじゃと蠢くスケルトン達が沸いていた。

 やっぱり二階層はスケルトンだよね、定番。


「ライム。お前も戦えるか?『変幻自在』『胃袋』を組み合わせた放出攻撃は結構武器になると思うんだが・・・」


「キュイッ!!!!」


 ライムもやる気のようだ。


 なんだかんだで愛着がわいてきたので若干可愛らしい。

 そういえばこいつに矢なんかを持たせたら『変幻自在』で膨張する力を制御して飛ばせるんじゃないかな?

 いい事を思いついたので次はやってみよう。

 ダンジョン協会の換金所で探索用の武器が売られてたのを前見かけた。

 銃刀法に関しては、ダンジョン内に限っては有耶無耶になっている。ダンジョンで素手で戦う馬鹿はいな・・・・いな・・・・俺のことだ。



 2階層にいるスケルトン達は俺達を見つけると臨戦態勢になり、一斉に襲い掛かってきた。

 骸骨で構成された身体と黒く塗りつぶされたような目で不気味だな。

 

 前から大量の骸骨が襲い掛かってきたので、とりあえず殴る蹴るを繰り返す。

 ちぎっては投げを続けていると・・・


『レベルが上がりました。』


 と、いつものヤツ。

 睡眠中に鳴るのを防ぐスキルはいまだ獲得していないが、レベルが上がるごとに必要経験値数つまり必要時間は大きくなる訳で、こうやってダンジョンでレベルを上げて対策することはできる。

 つまりレベルの上がる頻度を減らすってことだ。

 「俺は安眠を取り戻す!!」って未だ、人一倍寝てるんですけどね・・・


「ライム、こいつらの魔石回収しといてくれ。」


「キュイッ!!」


 魔石を拾う手間も無くなったのは便利極まりない。

 世の中には既にダンジョン用の運びポーターというサポート職も存在するらしい。・・・これはなんか時折小説で見かけるざまぁ展開とか起きてそうだな。


 その分従魔がやってくれるのは楽だ。

 経験値が分配されてたとしても絶対二割は返ってくるし、食事も排泄も必要ない。


 さらに驚くことに、コイツにはスライムの弱点である"核"がない。

 つまりスライムロードは完全消滅させなければ即死しない。

 回復スキルなんかが身に着けばそれなりの強さにはなるはずだ。



 ◆◆◆

 これは・・・罠?

 しばらくスケルトン達を倒しながら二階層を見て回ると、明らかにヤバそうなボタンがあった。

 まだ浅い層の内にトラップがどういうものか確認しておきたい。

 

 俺じゃなきゃ押さないぞ・・・こんなボタン。

 これ果たして罠と呼べるのか?



「ゴゴゴゴッ!!!」

 

 いつの間にか俺達はボス部屋に転移していた。

 大きい音とともに魔法陣が浮かび上がり大量のスケルトンと一匹の上等なローブを着たワイトが出現した。

 このワイト、足がないのか・・?浮いていやがる。


「・・・・ヒサシブリのニンゲンだな。カカッテコイ。」


 ワイトは骨しかない顎をガクガクとさせながらこちらに話しかけてくる。

 と、隙も無く杖を構え魔法を発動させてくる。


「火魔法『深炎弾ファイアーボール』」


 ワイトの魔力を吸収した杖から青い炎の玉が放出される。

 凛は身をひねってワイトの魔法を躱すが、深炎弾ファイアーボールの威力は変わらず地面を掘り進めて・・・爆発。

 そしてワイトは上空に浮かび上がり、高所で再度魔法を打つ準備を始める。


「絶対当て字間違ってるだろ!!ファイアーボールって普通もっと弱めだろ!!

 てかおまえッ・・・日本語が話せるのか?!」







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