はじめての従魔

『従魔:ボス・スライムの獲得に成功。』

『ユニークスキル『堕落』を獲得しました。』

『ユニークスキル『堕落』はユニークスキル『怠惰スロウス』に統合されました。』


 おう、目論見は成功したようだ。

 ユニークスキル『怠惰』には眷属に関する記述があったのでやってみたが、正直賭けだった。スライムに窒息死させられかけたというのに、まだこんなリスクを冒すなんて人の性根というものを思い知らされた。


「もっと検証を積んで慎重に生きよう。長生きする為にも・・・」


 そういえば従魔と眷属って違うのかな?

 それにしてもボス・スライムって・・・なんて大層な名前なんだ。


「キュイ・・・ッ・・・」


 ボス・スライムは怯えた雰囲気でこちらを見ている。

 が、前に犬を拾った経験もある俺は優しくボススライムに話しかける。


「ボス・スライム、今日から俺の従魔だぞ~よしよし。」


 相当怯えているようなので、撫でてやる。

 すべすべでぷにぷにした感触が気持ちいい。


 15分ほど宥めてやると静かになった。

 まぁ、スライムからすれば俺は超危険なヤツには違いないから仕方がない。

 ただコイツはこの調子で人間を襲っていると、どうせ他の人間に駆逐される。

 別に誰の悪意もないのだろうけど、自然の摂理というやつだろう。


「そうだ。名前をつけてやらなきゃな。

 ん・・並べ替えると・・むむむ

 今日からお前の名前は・・・・『ライム』だ!」


 スライムから「ス」を抜くという安直かつ圧倒的な適当さ!!

「隙あらば手抜き」これが中高帰宅部で学んだ黄金の精神である。

 しかし、たまたま普通にペットの名前っぽくなった。


「キュイッ・・・」


 なんか嫌がってないか・・・?いや、気のせいだろう。

 すると、ボス・スライム・・・ライムの周りに光が集まっていく。


『ユニークスキル『怠惰スロウス』により命名・・・』

『個体:『ライム』は種族:妖魔公スライムロードに進化しました。』

『眷属・『ライム』を獲得しました。』

『眷属・『ライム』のステータスが閲覧可能になりました。』


 ふむふむ。命名すると眷属するになる訳ね。

 ところで統合された『怠惰スロウス』の効果も確認しなくちゃ。



◆『怠惰スロウス』:何もせずにレベルがあがる。

      また、堕落させた眷属から経験値の2割を納めさせる。


 

 堕落ってなんだ?

 堕落した天使・堕天使とか聞いたことあるけど・・・

 おっ?!2割になったのはめっちゃ便利だな。

 ライムのステータスも覗いてみる。



 *******

 名前:ライム

 レベル672

 種族:妖魔公スライムロード

 技能:ユニークスキル『変幻自在』『胃袋』

 耐性:状態異常

 攻撃:2465

 生命:5428

 魔力:820

 *******



 ◆『変幻自在』:体を自由自在に変化させられる。

 ◆『胃袋』:自分の体の中に物を収納できる。        


 種族の欄がある。進化したみたいだけど・・・人間には無いのかな?

 ステータスに若干のばらつきはあるものの戦闘面に支障はなさそうだ。

 状態異常耐性はいいな。俺も欲しい。


「今日から頼むぜ、ライム。

 早速荷物を収納してくれ。これからは長期潜伏も心配をかけない程度にやっていくからな!!」


「キュイッ!!」


 するとライムは、遭難用の水4リットルや缶詰類、保存食類をあっという間に飲み込んでしまった。

 荷物を背負わなくていいのはすごく便利だな。


 これでますます探索が快適になった俺は一回層のスライム達を狩りながら帰路についた。

 今日の収穫はスライムの魔石60個と、かなり高水準。

 明日はボス・スライムをテイムして開いた2階層かな・・・






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