換金と妹
「ただいまー。ダンジョン行ってきたよ~」
「おかえりお兄ちゃん、どうだった初ダンジョンは?」
リビングに入ると早速妹の雷華が感想を聞いてきた。
「凄かったよ。スライム30匹で6000円。
移動と荷物運びの大変さを考えると割に合わないかも。」
千代田区ダンジョン支部にてスライムの魔石を換金したところ6000円だった。
4時間は探索していたので時給1500円といったところ。
しかし何階層も探索するには時間が足りないので、今度からはダンジョンの中を全力で走ることになりそうだ。
迷宮内はとてつもなく広いのだ。
「そうなんだ~私の高校でも今度ダンジョン実習があるんだ。スキルとステータスの取得だけだけど。」
現在高校1年生となった雷華はステータスを取得するための実習に行くらしい。
無論あまりモンスターのいない過疎ダンジョンに有力探索者数名を連れ込んだ、ガチ安全実習だ。
自分の将来を決める助けにもなるし、スキルを使った犯罪から身を守るためにプロの監視下で滅多にないチャンスをもらえるという事で16歳以上で参加出来るから参加者も後を絶たないらしい。
最近頭角を現しはじめたB級パーティー「銀の翼」が同行するという。
B級とはダンジョン協会の定めるS~Fの位のなかでも上位に位置するランク。
モンスター討伐の実績や協会への貢献度なんかによって決まるらしい。
「俺もダンジョンで食っていけるくらいにならないとな。
これお小遣い。食費とかじゃなくて好きに使ってよ。」
俺は今日稼いだ分の内二千円を財布から取り出す。
女子高生と考えるとあんまり大した金額ではないが、それでもいつも料理を作ってくれるのでほんのお礼がしたかった。
友達かなんかと遊園地でも行ってきて欲しいものだ。
「ありがとう!お兄ちゃん!!一生懸命探索してきてくれたんだから大切に使うね。」
最近も変わりなく母さんの帰りが遅い。
我が家はそれだけ逼迫した状況なのだろう。
とあれば、自分が探索者となり命を掛け金に日々働くという未来は最早、眼前にみえていた。
最近はあらゆる番組で、話題の探索者とやらで持ち切りになっていて1億プレイヤーなんかもいるらしい。
いよいよ見えてきた自分の進路に期待を馳せながら、その日は眠りについた。
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