初ダンジョン
俺は、この高校3年の冬休みで探索者としての登録をしてしまうことにした。
事前にネットで登録をし、当日は鑑定という特殊なスキルをもつ専門家がついてスキルに虚偽の申告がないかとかを調べるらしいのだが、ネットで調べたところ『鑑定』で分かるのスキル名と名前だけらしいので・・・効果の詳細はレベルが上がって強くなるまで秘匿しておこう。
スキルの効果の詳細の報告は進化などによって変わったりするらしいので後で変更が効くのだ。
個人でダンジョンに入れる探索者は満18歳以上からということで身分証の提示を求めらた上、書類上の手続きと簡単な注意喚起があった。
そして今日、俺は因縁の地・旧聖華学園グラウンドへと足を進める。
ここは千代田区ダンジョン協会支部が管轄するダンジョンで、一年前俺が初めてダンジョンを見た場所だった。
「随分なつかしいな。そういえば一ノ瀬のやつ元気かなぁ。」
懐かしの煩い委員長もしがらみ無ければただの女子。
唯一絡んできてくれたのが一ノ瀬だっただけに、都合のいいように思い出が改変され今では青春の一ページ的な待遇になっているのだ。
通いなれた学校の外観はそれにしても懐かしい。
唯一の異物は・・・ダンジョンである。
そういえば、全国でもピラミッド型のダンジョンは珍しいと聞いた。
◆
ダンジョンの一階層に足を踏み込み、数メートル進んでみる。
めっちゃ静かだな・・・
進んでいるとダンジョンで最初の魔物に遭遇した。
「スライム!!生で見るとかわいいな~。」
丸っこく半透明なスライムに安易に手を伸ばすと、いきなりスライムが視界から消えて顔面目掛けて飛んで来た。
「・・・っ・・ご・・もぉ・・・」
スライムが鼻と口に体を密着させてきて息ができない。
こんなにあっけなくやられると思っていなかった。
ごめん母さん、妹・・・俺ここで死ぬみたいだ・・・
スライムのモチモチした感触に包まれて・・・
ん?なんか痛い。ごつごつする場所がちょうど頬にあたって不快感があった。
異物に手を当てて掴んでみると、石のようなもの?が力を入れると簡単に壊れスライムは霧散した。
なるほど、これがかの有名なスライムの核か・・・
「っぷはぁ。はぁ、はぁ。ほんと危なかった。スライムとはいえ舐めすぎたな。」
思いっきり息を吸い込むと、反省をした。
ステータスが高いとはいえ所詮人の子、窒息すれば死に至る。
そんな当たり前のことを忘れていたので今回はとてもいい機会だった。
『耐性:『窒息』を獲得しました。』
*******
名前:リン・テンドウ
レベル483
技能:ユニークスキル『怠惰』
耐性:窒息
攻撃:4830
生命:4830
魔力:4830
*******
死にかけたことを除けば、窒息耐性を手に入れるなんて順調な滑り出しだ。
攻略情報サイトによると耐性なんてなかなか手に入らないらしいからな。
もしかして、レベルアップに関係あるのかな?
「おっ、またスライムだ。」
今度は同時に三匹のスライムが現れたので、軽くローキックを入れ勝利。
そういえば、魔石は換金できるとのことなので核は狙わないことにした。
半透明で少し愛嬌があったので残念だが、平気で窒息死を狙ってくることを忘れてはならない。
今日は、一階層を徘徊し、スライムを狩って狩って狩りまくった。
そして約4時間の探索で合計30匹のスライムを狩ることに成功した。
これなら、安眠の日もそう遠くないはず・・・
『レベルが上がりました。』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます