ステータス

 俺は自分の部屋に戻って寝転んでいた。

 

 吹く微かな風と滑らかなシーツが優しい眠気を誘う。

 この癒しの空間が更に俺の意識をベッドに沈めていくのだ。

 

 ・・・って、まずい!寝るところだった!!

 俺にはやらなきゃならない事があったんだ。

 

 ダンジョンを見た瞬間に聞こえたあの言葉を思い出した。


『ステータスを取得しました。』


 焦ってそれどころじゃなかったが、今なら落ち着いてはっきりとわかる。


 ちゃんと聞こえたクリアな一文。

 もし、ファンタジーと同じ世界線ならこうだ。


「ステータス」


 *******

 名前:リン・テンドウ

 レベル58

 技能:ユニークスキル『怠惰』

 耐性:無し

 攻撃:580

 生命:580

 魔力:580

 *******


 約束事のように青く透明なステータスボードがでてきた。

 レベルが58もある・・・?!

 つまりあの通知は幻聴なんかじゃなく、本当に・・・。


『レベルが上がりました。』


 即座にレベルの表示が59に変わった。

 なんとも原因不明の耳鳴りの原因がファンタジーとはおどろいた。

 にしても、スキルが怠惰かー。俺にそっくりそのままだな。

 スキル『怠惰』のところを軽くタップすると、説明が出てきた。


 ◆『怠惰』:何もせずにレベルがあがる。

       また、眷属を作り経験値の1割を納めさせられる。


 すばらしい!寝てるだけでいいなんて。

 もってこいじゃないか。

 しかし眷属とは平穏じゃない。

 この現代社会で眷属というと穏やかには決してならないわけだ。


 魔力があるのに魔法が使えないことが残念だが、それはまぁいい。

 しばらくは様子を見て、家の為に金策を考えなくては。

 ダンジョンで稼げたらいいんだけどな・・・。

 妹や母さんの役に少しでも立って守ってあげたい。

 スキルも順調な感じだしあとは何とかレベルアップ通知を消せばいいだけだ。

 


『レベルが上がりました。』


 うん、寝れないね!・・・コレ。

 またレベルアップ通知が来るまでの僅かな時間まで、俺は爆睡した。

 




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る