第15片

 「何だ?このウサギ」

小さなウサギを見たレオはデイドリームに聞いた。


 「いや、ペットだよ。ペット……」

デイドリームはわかりやすい嘘をついた。冷や汗が出る。


 「へぇー、お前ウサギなんか飼ってたんだ。それならもっと早く言ってくれよ。にんじん持って行ってやったのに」

レオがそういう嘘ににぶくて良かった。


「じゃあ今度にんじん持ってお前ん家行くわ。あと、名前聞いてもいい?」

 

 デイドリームはさすがに焦った。顔に出てるだろうか。嘘がバレないように話を切ろうと「いや、この子にんじん食べないんだ。それより、試合行こうよ。ね?」とうながした。


「そう……だな。うん行こうか」


 レオは考えたような顔をしてそう答えた。そして歩き出した。


 デイドリームはレオが良くも悪くも友達が多いのは“鈍くて素直な所”なんだなと思った。実際、今それに助けられた。デイドリームはそんなことを考えながら、レオについて行った——



 レオとデイドリームがフィールドに戻ると、リアムが待っていた。

「何をしてたのかな?」

「……怪しい人影が見えたので、追いかけていました」


 デイドリームは威圧感に耐えながら言った。実際にオーラが見える領域に達した気がする。気がするだけなのかもしれないが。


 そういう話に関係ないことを考えている間もリアムは追撃する。

「怪しい人は今、どこにいるのかな?」


 デイドリームは迷った。ここでウサギ人間の事を言っても信用してもらえないだろうか。とても迷った。長考の末、信用してもらえないと思い「見失ってしまいました」と答えた。


 「それは問題だ。フィールド内に知らない人がいると困るな。しかし、時間も押している。今回は見逃すが、次からは当たり前だが、プレーヤー以外がフィールドに飛び出すことのないようにしてくれ」

「はい」

「じゃあついて来てね」

とリアムが微笑み、振り返った瞬間、デイドリームは胸に手を当て、安堵あんどした。

 

 デイドリームはフィールドへ向かう。

 

 レオは待機場へ向かう。


 リアムも待機場に向かう。

 

 3人ともウサギ人間が何者かは知らずに————

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