第6片

 会議室のドアが開くと同時に、デイドリームは会議室の広大さに圧倒された。デイドリームが通っていた高校の体育館と同じくらいの広さだ。


 デイドリームが足を踏み入れると、会場が騒めいた。デイドリームは周りを見回す。何か騒ぐようなことが起こった訳でもない。


 そういえばさっきも、デイドリームが待合室に話している時にコソコソと話す人がいたりした。何か噂でもまわっているのかもしれない。デイドリームは、それを後でレオに聞くことにした。


 デイドリームは受験票に書かれた番号の席に向かった。たまたまかもしれないが、今日の日付になっていた。デイドリームはまた、さっきの噴水の虹のように幸運を呼び寄せているのかもしれないと思った。



 デイドリームが席に着くと、中央に座っている総司令官のリアムが話しはじめた。

「今からウェザーヒーロー試験を始める……だがその前に、デイドリーム・ココ」


 デイドリームは、予想外の名出しにビクッと肩を上げた。そして、「はい」と頼りないような、震えた返事をした。

「君は時間に間に合っていない。よって、10点減点しておく。」


 デイドリームは「みんなとそう変わらず、会議室に着いた」と思っていた。もしかすると、あの不思議な気持ちについて考えていたので、歩くのが遅くなってしまったのかもしれない。少なくとも自分は間に合ったつもりだったので、デイドリームは一瞬、反論しようとしたが、心に留めておいた。反論したら、また減点されるかもしれないと思ったからだ。



 「では、始めようか。最初は面接を行う」

リアム司令が言うと、会場が一瞬凍りついた気がした。デイドリームの肩が上がる。リアム司令はカリスマ的な、何かを持っているのかもしれない。


 そうして、試験が始まった。


 

 

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