第4話


「灰斗!」


 そう千里が、声を掛けてきた。


 後ろには、憎たらしい銀二がいる。


「おう、残りの班員三人はどうする?」


 俺の言葉に、銀二が人数に、含まれていないことに気が付いた、千里は苦笑いをしていた。


「まじで、ごめんって! 済まなかった、許してください」


 と、銀二がスライディング土下座をして、謝ってきたので、周囲が何事かと注目される。


 俺が、この学校のに入る理由になった、あの出来事には、銀二も絡んでおり、裏で密かに笑っていたのだ。


 筆記試験を受けるため、申請用紙を銀二と、一緒に出したが、専攻科目を書いた覚えがなかったのだ、確認しなかった俺も悪いが、申請用紙が、普通科とダンジョン科で分かれているため、先生も俺が、ダンジョン科に行くと思っていたらしく、知らなかったのは俺だけ。


 筆記試験の会場も同じだったため、気づかなかった。


 本音は、銀二も同じ一緒の高校に、行きたかったのだろうと思うが。いや、そうであってくれ。


 そのため、今の今まで、見かけたが無視をしており、それを哀れんだ、千里最終兵器が手助けをし始めたのが、今の現状である。


 そもそもの、千里元凶なのだが。


「分かったから、許すよ」


 俺はそう言って、千里を流し目で見た。


 うんうん、と頷いている千里に、腹が立ちデコピンする。


「いった―い」


 などと言っているが、無視して。


「後、二人どうするか?」と、俺が言う。


「女の子がいい」と、銀二が言う。


「わたしも女の子がいい」と、千里が言うので。


「男女共同寮のペア二人なら、ちょうど二人か」


 俺は、周囲を見渡すと、こちらを好奇の目で見ている人達と目が合う。


 無視して、観察していると、男女共同寮だと思われる、気弱そうな二人を見つけたので、そちらに向かう。


 二人で固まっていたので、男女共同寮だろう。


「なぁ、ちょっといいか? 二人は、男女共同寮に住んでるの合っているか? 男女共同寮は、一緒に組まなければならないし、こっちのグループは二人足りないんだ、よかったら、一緒にグループを組まないか?」


(この学校に、入ってしまったのは仕方がないので、俺の平凡生活計画を、修正し、プランBに移行することにした)


 ひそかに企むと、普段は絶対しないが、そう声を掛ける。


「……男女共同寮に入寮しています……えっと……」


「あーごめん、自己紹介がまだだったね、俺は今井灰斗いまいはいと。で、こっちが……」


「私は、上桐千里かみぎりちさと、よろしくね」


「俺は、鈴木銀二すずきぎんじ、銀二って呼び捨てで、いいぜ、よろしく」


 と、一気に捲し立てて、自己紹介をすると。


「……僕は、……神木田信吾かみきだしんご……です、……彼女は、……小野里由香里おのさとゆかり……です……」


「……」と、ペコリ。


(俺の計画に、ぴったりじゃないか! 素晴らしい、このまま班と言うことにしてしまう)


「おう、よろしく」


「よろしくね」


「信吾、よろしくな」


「……あ、……えっと、……よろしくお願いします……」


「……」と、ペコリ。


 お互い自己紹介をしている合間に、時間となり、他の班も完成したみたいだ。


「……班ができたようだな、では、この後は、自由行動とするので、班の中を深めるなどに、活用してくれ、解散」


 そう言って、兵頭先生は、教室を去っていく。


「灰斗、カフェ行かない?」


「カフェなんて、あったのか」


「端末の中に、学校案内で、書いてあったよ」


「よく見てるな、他の人はどうする?」


「俺はパス、この後、女の子と会う予定があるの」


「うわぁ、手が早いね」


「問題起こすなよ、連帯責任になる」


 端末を見ながら、言った。

 

 それを覗き込んだ、千里が。


「縛り付けて、監禁した方が、班のためかもよ?」


 と、銀二を見て、笑いながら言った。目は笑っていないが。


「勘弁してください!」


 銀二は逃げだした。


「あまりイジメてやるなよ」


「今朝まで、無視していた灰斗が言うと、説得力がありますな~」


 ニヤニヤして言ってくる、千里に。


 口では、勝てないと悟り、矛先を変える。


「二人はどうする?」


「……能力を、……お互いに、……言わなくていいんでしょうか……?」


「あぁ、銀二のは、知っているし、二人は、言いたくないみたいだしな、上位の能力者には、秘密主義で隠している人も多いと聞く、言いたくなったらで、問題ない」


(……俺も極力言いたくはない、能力だしな)


「……分かりました、……ご一緒させてもらいます……」


「……」と、コクリ。


「おう、じゃ行くか」


「うん」


 その後、四人でカフェに向かった。






 四人でカフェに行き、帰宅した。


 抹茶の新作が、出てたので、つい二つも、注文してしまった。


 ここでの、お金は、端末で管理しており、銀行に親の仕送りや、ここで稼いだお金を入れておくことで、直接引き出してくれるので、端末一つで支払いが可能である。

 

「疲れた~」


 そう言うと、千里は、制服を脱ぎ、部屋着に着替えて、ベットに勢いよく飛びつく。


「寝るなら、風呂に入れよ」


「あーい」


 ウトウトしている、千里を見て、ダメそうだと悟った。


 時計を見ると、一一時を回っている。


「……俺も明日でいいか」


 寝ることにした。






「おはよう、では、今日から学園のカリキュラムが始まる」


 そう、兵頭先生が言う。


「まず、言っておきたいことは、時間がないということだ、知っているだろうが、第二次臨海体制が宣言されるのは、今年になる、各個人が強くなることだ」


「基本的には、午前中は座学で、午後は班でのダンジョン活動を行ってもらう、ダンジョンは階層ごとに分かれているため、より深く潜ることが攻略のカギだ」


 その後も、兵頭先生は、何かを言っていたが、ボーとしており、聞いていなかった。


 午後になり、各自ダンジョンに入る準備をし、集合する。


「……今井君たち、……装備がすごいね……」


 昨日のカフェで、随分と、打ち解けた信吾が聞いてきた。


「お? 分かるのか?」


 俺らの装備は、見た目は普通だが、中身はすべて異常の一言である。


 俺と千里は、二人ともつま先から頭のてっぺんまで、世界で1つしか存在しない激レア装備で、固めている。


「……あーそれは、……僕の能力が、……そっち方面に特化していてね……」


(もしやSか? いくら特化していても、詳細まで分かるやつ等、この世にいるはずがない、大丈夫だろう)


「へぇー、目がすごくいいだな」

 

「……うん、よくわかったね、でもさすがに、詳細までは、分からないや、でも、上位能力者の人達と遜色ないのは分かるよ……」


 珍しく、長文を喋る信吾。


(面白いなコイツ)


「俺と千里、銀二は経験者だから、気楽に行こうか」


「いこう」「よっしゃ」「……うん……」「……」コクリ。

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