第3話 ツナガル
どこかの施設の大きな車から、杖をついたり
車椅子のお年寄りが海岸を観に来たようだった。
「はーい、みなさーん!足元に気をつけてくださいね。あちらにベンチがありますから
そこまで歩きましょうね。」
若い女性が元気に声を掛けている。
介護職員なのだろう。
ナオはばあばと同じくらいの人達だわと
見つめていた。
「ナミコさん、ここに座りましょう。」
「ありがとうね、お嬢ちゃん。あれは
どこにいったかしら?たしかに持ってきたはずなのに、、。」
「ナミコさん、これですよね。
はい、ちゃんと持って来ましたよ。
ここの海を見せてあげるんですもんね。」
「そう、そうだっわね。忘れちゃってたわ。
いやね。」
ナオはひとりの老女が膝の上に大切そうに
小さな包みを載せているのを不思議な気持ちで見ていた。
あの包みの中はなんだろ?
老女は包みをそうっと開くと、、、。
ナオは驚いた。
あれ!絶対にそう!
ナオはばあばの手を引っ張った。
気持ちが先行してるんだけど、ばあばが
一緒だから、なかなか進まない。
「いったい、何事?ナオちゃん。
そんなに急いで、、。」
「ばあば、あの方を見て、、。」
サヨコはナオの視線の先を見た。
「あ、、。
あの赤い靴、、、。」
確かに見覚えがある、忘れる事なんかできやしなかった。
あれを持っているあの女性、、。
サヨコは胸の前で手を合わせて、瞼を閉じた。
まるで、過去に戻ろうとするかのように。
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