本好きは、かく語りき。

『ばいばい、アース』(角川文庫) 冲方 丁【★★★】

＜1＞　理由の少女

最高にフィーリングが合う小説でした。

個性的な設定がぐいぐいと読ませる。

一見、説明がなく解りにくそうに思えるが、漢字から意味を取れるし、くどくどと説明しないことで場を白けさせず作者の世界に読者を見事に引き込んでいる。

世界観もよくこれだけの文章で読者に伝えられるものが書けるなと。

ただフィーリングの違いかもしれませんが私には大変解り易かった。

何より今まで読んだことのない設定ばかり。

不思議の国のアリスを彷彿とさせるものがあるかも。

思わず４巻まで購入。

アドニスとの関係が私好みな展開になっていくようで最高に楽しみ。

＜2＞　懐疑者と鍵

面白かった！

世界観だけではなく、登場人物らの心情描写も深く大変濃厚なお味でした。

ベネット大好きです。

＜3＞ 爪先立ちて望みしは

とうとう物語もクライマックス！

敵という存在があやふやな世界で、仲間であった人物たちがベルの前に立ちはだかる。

キティの呪いが判明。

神という存在が徐々に輪郭を顕わにしていく。

徐々に明かされていく真実の断片に目が放せない。

最終巻よ、いざっ！

＜4＞ 今ここに在る者

読了。

初・冲方 丁で、まんまとハマりました。

世界観が躍動的で生き生きとした存在感を放っている。

演出も上手いしパワーもある。

ただ、あまりにも作者だけの世界文法を使いすぎ。

心揺さぶられる単語が散りばめられているというのに、もったいない。

もう少し標準文法を用いれば、もっと読者層は広がったのではないだろうか。

キャラクターも皆、魅力的でしたが、ベル、アドニス、キティはダントツだろう。

性別を超えた存在であるベネットも素敵だ！

バトルシーンが多い為、男性層のが熱いかな？

何はともあれ他の作品も読みたい！ と思わせてくれる作品でした。