第11話nocturne/愛
そこには
優の憤りも心の叫びも
届かない
そこは優や舞たちの通う学校にある音楽室
室内には明かりは点いておらず
誰も居ないかな様に訪れ始めた闇の色に
染まり掛けていた
しかしその暗い部屋の中には独りの女がいた
まるでそこで息を潜めて居るかの様に闇の中に溶込んでいた
女は睦月愛
彼女はその暗がりの中で姿無き誰かと話しをしていた
「そうね、カウンセリングの方は上手く行っているわ……そうよね、貴方の大切な娘の一人だものその気持ちは良く解るわ……」
愛は何者かと電話で話していた
愛その顔に悪意に満ちた笑みを浮かべ
その電話の相手 如月光一 と言葉のやり取りを交わしていた
「……でも、貴方が1番に心配なのはその御立派な立場でしょう?」
皮肉の籠もったその愛の言い草に光一は激高し
『その恩恵を受けている貴様が何を言うか!!』
と強い言葉を電話の相手 愛 に投げ付け
愛はその罵声を放った主に対し怒りをその顔と態度で露わにした
だが愛は人をその掌の上で転がして弄ぶと言うその術に長けていた
だから
「まぁ、良いでしょう。とにかく廻りにはバレ無ければ良いと……解っているわ。あなたは昔からそうですもんね。」
と冷静を装い、まるで先の事など無かったかの様に光一に返し
そして
「ごめん、さっきのは私が悪かったわ、そうね、また次に会える日を楽しみにしているわ」
と光一をなだめ
電話を切った
そして愛は
「ふぅ」
とひとつ息を吐き
自らをなだめると
暫くの間を置き
そして
今度は光一では無い別の誰かへと電話を掛けた
「もしもし、ああ羽衣?、私よ、お姉ちゃんよ……そう、今夜もあの娘大丈夫よ……ええ、そうよ、今夜もたっぷりと可愛いがってあげてちょうだい……そうよ、なんたってそっちの世界のアイドルなんでしょ?。だからギャラも沢山上げちょうだい、よろしくね」
それは羽衣なる人物とのやり取りだった
その人物[羽衣]とのやり取りを終え愛 は電話を切りそして
「せいぜい楽しませて貰うわ、この素晴らしき家族ゲームを」
と独り言ちていた
愛は笑っていた
笑っていた
しかしその笑みの中には満面の悪意に満ち満ち溢れていた
そしてその時の愛の声の中にも悪意は満ち満ちている恐ろしい声だった
そうそれはまさに呪いの呪文を唱える魔女の声その物だった
怒鳴り声を返して来た
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