第14話 心配してるだけ
ハッキリ言って、ボクは会話が苦手だ。ボクが会話に入ると、いつも流れを切ってしまう。うまいこと相槌も打てないし、面白い話ができるわけでもない。
ボクなんかと話している暇があるのなら他の人と話したほうが良い、そう考えてしまうのだ。そしてそれは事実なのだろう。
大抵の人はつまらなさそうな顔をする。ボクの煮えきらない返答にイライラする人が多いのだ。
でも極稀に、ボクみたいな人間の話にも付き合ってくれる人がいる。嫌な顔一つ見せずに、話してくれる人もいる。
無理をさせているのだろう。申し訳ない。
結局あのあと……ボクは
気を使っていただいているのはわかる。ボクが暗い顔をしているから、元気づけようとしているのは理解できる。
でも会話が苦手なボクからすれば……疲れるだけの時間だ。緊張しすぎて会話の内容なんて、ほとんど覚えていない。それが申し訳なくてたまらない。
「んー……」不意に
「え……?」そうだろうか……自分では変わってないつもりなのだけれど……「ご、ごめん……」
「ああ……いや、怒ってるんじゃなくて……心配してるだけ。なんだか最近の
「そう、かな……?」
自分では自覚がない。たしかに青春が色を失ったとは思っていたけれど、それは前からだ。ボクの人生はずっと灰色で意味なんて持っていなくて、これからもそうなのだと思っているのだ。
「部活とかやってみたら? 体を動かしたらスッキリするかも」
「……か、考えてみる……」
ボクは運動音痴だ。むしろストレスしかたまらないだろう。
いや……そうやって固定観念で考えるのは危険だろうか。案外部活をやってみたら楽しかったりするのだろうか。
しかし2年生で急に部活をやるのも目立ってしまいそうだな……とりあえずやめておこう。
……
こうやって行動しないからボクの人生は灰色なんだろうな。
「まぁ……今日のところは帰ろうか」
「……こちらこそ……気を遣わせてしまって……」
「なんのことやら」
本当に爽やかな笑顔だなぁ……ボクみたいな根暗女には似合わないほどの青春だ。
「じゃあ、教室に行こうか」
「う、うん……」
そのままボクたちは2人で教室に向かった。
クラス1の美少年……いや、学校でも最高峰のイケメンと歩いていると、それだけで注目されてしまう。明らかに視線がお多い。もちろんその視線は
到着したのは良いのだが……
「……なんか騒がしいな……」
授業が終わって放課後のはずの教室が、なんだかザワザワとしていた。
授業が終わった教室に生徒が多く残っていることは珍しい。部活動なり帰宅なり、それぞれの行動を起こす時間なのだから。
それなのに教室はざわついていた。
しかもなんだか……剣呑な雰囲気だ。はて……剣呑な雰囲気って言葉の使い方はあっているだろうか。
ともあれ危険な雰囲気を感じ取ってしまった。今、教室の中ではなにか揉め事が起きている。
そういうとき、ぼくは大抵逃げる。面倒事なんて文字通り面倒なだけだし、ボク程度が参戦したところで事態が収束するとは思えないからだ。
だけれど……ボクの目の前にいるイケメンくんはそうじゃない。クラスのリーダーとして揉め事は見過ごせないのだろう。
すると、
「ねぇ……なんでクラスの和を乱すことするの?」
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