第7話 適当に言った
クラスの真ん中には、いつも人が多い。そこに
その少し隣にボクの席があって……たまにボクにも話題が振られる程度である。
でも……なぜだか今日はボクを中心に人が集まってきてしまっている。理由は簡単。
「そういえばさ」
その声に反応して、取り巻きたちが話し始める。
「私はいないよー」
「俺も」
「昔だけど、いたことはあるよ」
「片思い中だね」
「残念ながら……いるんだなそれが」
各人それぞれの青春を謳歌しているようだ。恋人がいたりいなかったり、片思いをしていたり失恋の記憶があったり……彼ら彼女らの青春は色あせていないようだ。
「ふーん……」
しかし
「
黒髪ロングのクールビューティー。メガネが似合いそうな知的な表情。スラッとした体型に長い手足。モデルみたいな美人……それが彼女である。
「……なに?」
相変わらず低めで落ち着いた声だった。それだけで若干の威圧感があるが、
「
「いるよ」なんとも意外な返答だった。「教えられないけど」
「へぇ……誰?」
「……教えられないって言ったでしょ……」人の話を聞かないのは
それな。
ともあれ、
「なに読んでるの?」すぐに話題が変わるのも、
「そう」本当にいつも通りな人だな……「面白いよ。読んでみる?」
「……学校でそんなの読んでたら、怒られるよ」
「バレなかったら怒られない」そりゃそうだろうけど……「それに、エッチな本を読むことは悪いことじゃない。別に校則違反でもない」
「……そうなの?」
「知らない。適当に言った」
なんだそりゃ……相変わらずよくわからない人だ……
とにかく……これが
本人曰くお笑い芸人みたい名前で……この見た目でエッチな本をずっと読んでいる。しかもシモネタが好きという……人は見かけによらないという言葉の実体験として辞書に載せたいくらいの人物である。
このクラスでカーストなんて興味ないと構えているのが彼女である。とはいえ話しかけられたら返答もするし、見た目も良い。
だが性格が適当すぎるので、孤立していたのだ。ずっと学校でエッチな本を読んでいるような人に話しかけるのは
そんで……
まぁ
そんな人物が
ボクが勝手に憧れている人物だったりする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。