第6話 受け取らせてみせるからね
僕が数学の課題を提出し忘れたことなんてどうでも良い。あとから提出すれば良いし、場合によっては提出しなくたって問題ない。今までまじめに提出していたのだから、1つくらい提出しなくても大丈夫だろう。
問題は彼に対するお礼だ。早いところお礼を言わないと……
ボクを助けてくれた彼は、教室の後ろ側……窓際の席に座っていた。頬杖をついて目をつぶって……眠っているのだろうか?
眠っているのを起こすのは良くないだろうか……しかしこれ以上間隔が開くと、結局お礼を言いそびれそうではある。
いろいろ考えているうちに、
「で、
なんで彼女は……こんなにもボクの恋に興味があるのだろう。ボクが誰に恋をしていても彼女には関係ないだろうに。自分で恋をしておいてくださいよ。
さて、どう返答したものかと困っていると……
「やめろよ。困ってるだろ」明るい声が割って入ってきた。「そうやってグイグイ行けるのは
ともあれ、
「
背が高くて派手でイケメンで……勉強もできるしスポーツも得意。友達も多いし信頼も厚い。そんな完璧超人……に見える人物だ。
だから彼の能力が高いことに嫉妬なんてない。むしろ、もっと評価されてほしいくらいである。
こうやって私のことも助けてくれるし……
「ごめんな
「……」悪気がないから嫌なのだけれど……「う、うん……私は……大丈夫だよ……」
「そっか、ありがとう。
優柔不断なだけである。今の地位を失いたくないだけである。
成り行きの偶然とはいえ、今の僕はトップカーストにいる。その地位を失いたくないだけ。だから……適当に媚びへつらって笑っている。
最低な人間だ。別にトップカーストの人たちを批判しているわけじゃない。その肩書に乗っかっているだけの自分が許せないだけである。
「
「だからアタシは
「だから俺は好きな人がいるんだって……」なんか意外だった。
「受け取らせてみせるからね」こうやって自分の好意をさらけ出せるのは……素直に羨ましい。「
なんとも一途なことである。本当に羨ましい。ボクにも……そんなに好きな人ができるのだろうか。
しかし当の
「……別の人を探したほうが良いと思うけどな……」
苦笑いでそんな事を言うのだった。
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