1話 世界の終わり

2100年 世界は終わった。

2024年に起きた大爆発事件で、世界は変わってしまった。徐々に人が亡くなり、最終的には数十人しか生き残っていない。また危険な気体や物資がいるため、この世界で生き残るのは不可能だ。地球から出て行く人もいたが、その後どうなっているのか不明である。この地球は美しい惑星ではなく、消滅の惑星になった。そんな地球で、生き残っている人がいた。


地上から見た空は赤い。辺りは建物が崩れているものがあり、傾いているものもあった。地面はひびがあり、周りには薄い赤い霧も見えている。そんな場所でガスマスクを付けている人がいた。


この世界は、何とか生き延びないと。


そう思ったのは京橋 春希だ。彼はまだ15歳でありながらもこの世界で生きている。京橋はある物を探している。それは水だった。この世界は水はまだあるものの、ほぼ危険なものがあるので、そのまま飲むことは出来ない。斜めに崩れてる建物を歩き、頂点に着くと崩壊した街を眺める。京橋はマスクを外す。ここには赤い霧はないので、マスク外しても大丈夫だろう。


「昔の景色はこんなんじゃなかっただろうな。」


街が崩壊してる景色を見る京橋。


「水はあそこにあるのかな?」


西の方向に京橋はここから後ろで飛び降りた。飛び降りる時、赤い空を見る。同時にカラスが飛んでいる。着地する前、京橋は丸い物を地面に向けて投げた。地面に接触すると、大きなクッションになる。無事に着地した京橋は、クッションから降りた後片付け、元の形に戻した。再び西の方向に歩く京橋。数十分後、ようやく水を見つけた。そこには大量の水が溜まっていた。


「そっか、ここ大阪湾か。」


京橋は浮いた画面を出し、地図を調べた。京橋がいた場所は港区だった。


「港区か…昔よく海遊館に行ってたな。」


港区には海遊館があり、京橋は小さい頃よく行ってた場所であった。家族と一緒に行った思い出、親友と一緒に行った思い出、遠足で行った思い出。あの頃はとても楽しかったなと過去の事を振り返っている京橋。しかしその思い出は1回しか出来ない。時間を戻すのも出来ない。その思い出の雰囲気はもうない。時間が止めないのはこんな世界だったからだ。



そう、この世界は最初からゴミだった。



水筒に水を入れる京橋。ふたの間には4枚重ねた網がある。これは危険なものを排除するものである。水筒が満タンになったので水を入れるのやめ、ふたを閉じた。


「そこでなにしてるの?」


誰かが声を掛けられてきた。しかし周りを見ても誰もいない。


「気のせいか…」


その直後、後ろから剣で攻撃してきた。京橋はすぐ避けた。


「初対面なのに攻撃してくるなんて、君どうにかしてるよ。」

「そんなもん知るか。」


京橋はすぐここから逃げようとした。しかし


「逃げても無駄よ。」


目の前に突如現れ、仮面を付けていた白髪の女だった。


「さあ、降伏しな。」

「そうはさせるか。」


仮面を付けた女はすぐ京橋の方へと行った。剣を斜めで振り、少し高くジャンプし、上から剣を攻撃した。しかし京橋は全て避けた。


「嘘!?そんなバカな!?」

「もうそろそろやめてもいいかな。」

「無理だ。まずお前を殺す。」


仮面を付けた女は剣に地面に刺し、右手を上げ、ぶつぶつとなにか言っている。呪文だろうか。しかし地面にひし形が現れ、外側に円が出来ていた。円の内側には文字が見えてきた。


「バリオダーク!!」


そういった仮面女は剣を刺してる周辺にうすい紫の煙が現れ、剣も紫色になっていた。剣を抜くと、剣の周辺に薄い紫の煙が付いている。


「どうした。ビビったのか?」

「いや、ビビってないよ。」


仮面女は、京橋の方に走って行き、思いっきり剣を振った。思いっきり振った影響なのか、煙のせいで視界が見えずらくなった。すると後ろから剣で攻撃してきた。そこで京橋は剣で防御した。


「そんなんやっても無駄よ。仮面くん。」

「ここからだ。」


一旦離れようとする仮面女。横から剣を振ると、丸い物がこちらに来た。すると爆発し、20発も爆発された。爆発後、爆発したところは煙まみれだった。


「フン。地獄に落ちろ。」


ここから歩き去ろうとする直後、目の前に京橋がすぐ現れ、


「その仮面外せ。」


剣で仮面を斬った。目が赤色であり、イケメンな顔であった。


「まいり、ました…」


京橋は剣をおろした。


「なんでこんな事をしたんだ。しかも初対面で…」

「それは、あの人達だと思ったから。」

「あの人達?」


場所を移動し、階段で座った。


「あの人達って?」

「クロレとサノ。あいつらは悪い人達よ。」

「なるほど。理由は?」

「それが分からない。でも、あの人達は絶対悪い人だよ。」

「ふーん…」

「どこにいるのか不明。だけどあいつらはまだ生きてる。」

「でもさ、なんで俺を殺そうとした?」

「それは、あなたにもの凄く似てたから。」

「俺が?」


うんと白髪の女がうなずきながら言った。クロレとサノは悪い人達と言われているが、なぜ悪い人達なのか分からない。何かとんでもないことを起こして、それで悪い人達と呼ばれてるのではと京橋は思った。


「君、名前は?」

「京橋 春希。」

「春希で呼んでいい?」

「いいけど…」

「あ、私は安曇川 時雨って言うんだ。安曇川でもいいし、時雨でもいいよ。」


彼女は安曇川 時雨という人で、白髪が特徴である。

「じゃあ安曇川で…」

「あと君何歳?」

「15ですが…」

「わっか!私より年下じゃん!」

「あなたは?」

「私18!君より3つ年上だよ。だから敬語、使ってね。」

「はい。」


数時間後

夜の時間帯になり、空は暗くなっているが、月周辺にはまだ赤い空が見えている。京橋は安曇川の家に泊まった。安曇川は食事の準備をしていた。窓はあり、新しい窓だった。京橋はある物を見た。それは写真だった。真ん中に安曇川がいており、おそらくまだ中学生の頃だろう。左には母親、右には父親らしいものが写っていた。すると安曇川が食事を持って来た。


「お待たせ。」

「あ、ありがとうございます。」


京橋は左手でスプーンを持った。


「あれ?左手で持つんだ。」

「え、はい。いつも左手で食べているので…」

「君、もしかすると天才かもしれないぞ。」

「僕なんか、天才じゃないですよ。」

「分からんぞ。」


安曇川はにやけながら言った。二人とも同時に手を合わせ、


「いただきます。」

「いただきます。」


安曇川が作った食事は、ドリアであった。しかしあることを思い出し始める京橋。


この味、どこかで懐かしい匂いがする。


「どうした?」

「あ、いや、なんでも…」

「そう。」


スプーンをすくい、ドリアを食べた。すると動きが止まり、スプーンが落ちてしまった。数秒後、目から涙が出始めた。


「どうした…って泣いてる。大丈夫?なんかあったの?」


動揺する安曇川。


「私の味、変だった?」

「違います。この味、母が作ったドリアと同じ味で…」


京橋は涙が止まらなかった。すると安曇川はこんなことを言った。


「気持ちは分かるよ…泣くのは。ゆっくり食べなさい。」

「はい…」


その後京橋泣きながらドリアを食べ終えた。


「あの、この写真は安曇川さんの両親ですか?」

「そうよ。これ中学生の時に撮った写真なんだ。」

「へえー…母親と父親は今どこにいるんですか?」

「もう、死んだよ…私が15の時に。」

「そんな…」

「誰かに殺されたんだ……」


京橋は少し悲しい表情になっていた。


「君の両親は、今何してるの?」

「実は、2年前から行方不明で…」

「嘘…13歳の時から?…」

「はい。だから2年間全国で歩き周ってきましたが、どこも見らたれなくて……」

「辛いよね。見つからないのは…でもきっとどこかに生きているよ。」

「そうだったらいいですけどね……」


京橋はコップに入ってる水を飲んだ。


「私、風呂の準備するね。」

「あ、ありがとうございます。」

安曇川は風呂の準備をしに行った。京橋は窓を開き、外の景色を見た。辺りは建物が崩壊してるものばかりだが、近くに海が見えていた。あの頃を思い出す。まだ世界が崩壊する前、地下鉄の中央線が大阪湾を高架でコスモスクエア駅まで横断し、その景色が小さい頃、京橋は喜んでいた。だけど今は高架の橋脚のみだった。数分後、安曇川がこちらに来る。


「お風呂できたよ。」

「あ、はい。」


京橋は風呂を入った。温度は丁度いい温度だった。久しぶりの風呂なのか、京橋は気持ち良さそうだ。


「久しぶりの風呂だ……」


京橋は何かを考え始めた。


この先、どうなるんだろう?人類は未だに数十人しか生き残ってないけど、その約9割が日本に生き残ってるらしいよな。食糧もそろそろ無くなるじゃないかな。どうなってしまうんだ。この世界は……


翌日

時間は朝8時だ。京橋と安曇川は出て行く準備をした。二人ともリュックの中には、ガスマスク、水筒、スマホ、一週間分の食料などが入っていた。服装はダウンジャケットなど、冬の服装を着ていた。


「あの、どこに行くんですか?」

「六甲山。あそこに美しい水と食料がある。私が調べた中で、唯一食糧があるのはここだけだ。」


六甲山は兵庫県にある山で、景色が絶景などが有名である。あそこには美しい水と食料があるのだ。


「歩いて行くんですか?」

「ううん……電動バイクで行くよ。歩いたら10時間ぐらいかかるよ。ほら、これ。」


安曇川は青い丸形を投げた。京橋はそれを手で受け取った。家を出て、安曇川はドアを閉めた。階段で降り、広いところで安曇川は電動バイクの出し方を教えてくれた。


「これを地面で叩きつけるの、そしたら…」


安曇川は丸形を地面に向かって投げた。すると煙が出し始め、数秒後、電動バイクが出てきた。地面には付いてなく、浮いていた。また座るものはなかった。


「電動バイクが出てくるのよ。」

「凄い…」

「ほら、やってみ。」


京橋は青色の丸形を地面に向かって投げた。すると同じように電動バイクが出てきた。こちらも浮いており、色は青だった。次に操作方法を教えてくれた。


「操作は簡単。右側を回したら速度が上がる。左側だと速度が下がる。曲がる時は車や自転車と同じやり方だから。分かった?」

「はい。」

「よし、行くぞ。」


安曇川と京橋は電動バイクを乗った。電動バイクが動き出し、二人は高速道路へと向かい行った。高速道路を入り、湾岸線の高速道路で行った。京橋は天保山大橋に走行してる時、海を眺めた。空は曇天だが、向こうには少し光が見えてきた。100キロの速度で駆け抜ける二人達。このまま湾岸線を走り、途中の高羽のところで出て、阪急六甲駅まで向かった。向かう途中、建物が倒れてたり、鉄道の高架線が崩れたり、街は終わっていた。阪急六甲駅に着くと、一旦ここで休憩する。京橋と安曇川は水筒で飲んでいた。


「ちょっと疲れました。」

「立つながらだとしんどいよね。」

「はい。だけど湾岸線に走るの、久しぶりです。」

「へえー」

「ここって昔高級住宅街でしたよね。」

「まあ、そうだな。てか、阪急が通ってたら高級住宅街だよ。」


安曇川は微笑みながら言った。


「海が見えるね。標高が高くなるほど、海が見えやすいよ。」


京橋と安曇川はそのまま向こうにある海を眺めていた。数分後、二人とも電動バイクに乗り、六甲山を目指していた。途中勾配がきついところもあるのだが、電動バイクはそのまま走り駆けて行った。京橋はメーターを見る。バッテリーは90パーセント、速度は80キロ、それだけ表示されていた。ようやく六甲山に着いた。ここで電動バイクの閉じ方を教えてくれた。


「閉じ方はメーター機の下に赤いボタンがあるんだ。それを押したら、元の丸形になるんだ。」

「これを押してっと…」


京橋は赤いボタンを押すと、電動バイクは一瞬で変形し、元の丸形になった。


「おお!凄い。」

「出来たじゃん。」


安曇川も赤いボタンを押し、元の丸形になった。


「よし。ここからは歩いて水を探そう。」

「はい。」


京橋と安曇川は森の方へと歩いた。


「ここってよく来るんですか?」

「そうだな。毎週金曜日はここに来ている。」

「途中で人に襲われたりとかあったんですか?」

「あんまりなかったよ。そもそもこの世界は人なんてほぼいないだろうな。もう完全に収束してると私は思う。」

「多分、僕達だけですかね。」

「多分、そうだろうな。電動バイクで走り駆けてる時も、人は見かけてないし。」


安曇川はある事を言う。


「赤い霧の事だけどさ、あの気体は何だと思う?」

「え、硫化水素とかですか?」

「違う。あれはハンドスイムだ。あれを吸ったら、10秒後には息が苦しくなり、10分後には死亡する危険な気体だ。救える方法は一切ない。」

「結構危険な気体じゃないですか。」

「うん。もし来たら絶対ガスマスク付けてね。」

「はい。」


喋りながら歩く京橋と安曇川。二人は徐々に勾配が少しきついところへと歩く。


「しんど…」

「ほら、頑張れ。」

「はい…」


すると京橋が何か音が気づく。


ん?この音……


数秒間、音に集中する。


この音は、水だ。


そう。京橋が聴いた音は水が流れてる音だった。


「安曇川さん。どこか近くに水が流れてます。」

「本当か!?」

「多分、東から音が聴こえます。」

「よし、東の方向に行くぞ。」

「はい。」


二人は東から聴こえる音を急いで歩いた。数十秒後、川を見つけた。


「あった。」

「あそこか。」

「安曇川さん行きましょう。」

「待って、行かないほうがいい。」

「え、何でですか!?」

「あれを見ろ。」


なぜ行かないのか。それは、曇川が赤い霧が微かに見えたのだ。


「赤い霧があるから危険だ。他のところに行こう。」

「はい。」


二人は別のところを探した。30分後、再び川を発見した。今度こそは大丈夫だろうと京橋は思った。


「よし。ここなら大丈夫だそうだな。」

「そうですね。」

「よし行こう。」


二人は水を大きめの物を入れていた。この川はかなり綺麗であり、生きている中でこのような川を見るのは初めてだと京橋は思った。


「この川本当に綺麗ですね。」

「このまま飲んだら駄目だぞ。」

「はーい。」


その時だった。


「ねえ、なにか誰かが見られてる気がするんだけど、気のせいかな?」

「気のせいじゃないですか?」

「まあ、そっ……春希!後ろ!」

「え?」


京橋が後ろを見ると、身長が高い男がいて、もうすでに刀を攻撃しようとしていた。そして攻撃した直後、衝撃波で水が跳ね上がり、煙も出てきた。


「春希!」

「フン。死んだな。」


刀を持っている男。彼の名前は、丸山 摩耶だ。彼は京橋を殺そうとしている。だが


「いきなり攻撃してくるとかやめてほしいな。」

「なっ!?……」


煙が徐々に消えると同時に丸山の後ろに京橋がいた。


「貴様、なぜそこに……」

「分かるんだよ。」


京橋は思いっきり剣で振った。すると丸山は吹き飛ばされ、数十メートルの木に激突した。安曇川が京橋の方へと行く。


「大丈夫か春希。」

「大丈夫ですよ安曇川さん。それより、あの男の子を倒さないといけません。」

「うん。あいつ、たぶん厄介だぞ。」


すると徐々に近づいてくる丸山。京橋と安曇川は戦闘態勢になった。


「よくもしてくれたな。だがお前みたいな奴は初めてだ。」

「君はなぜ戦うんだ。私達はただ食料を取りに行っただけだ。」

「許可なくこの水を拾うのは駄目だ。そんなに欲しいなら、俺を倒せ。」


丸山は少し笑いながら言った。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る