2話 過去の惨事

丸山はこちらの二人の方へと歩く。


「安曇川さん、僕に良い提案があります。」

「良い提案ってなんだ……」


京橋は丸山に分からないように小さい声で安曇川に話した。丸山は首を傾げ、何をしゃべってるんだというような顔をしていた。


「なるほど…分かった。やってみせる。」


丸山が少し煽るような事を言う。


「おいおい、降参でもするのか?」

「いや違う。」

「じゃあ何だ。」


すると京橋はすぐ丸山の方へ行き、剣で思いっきり縦で振った。丸山は刀で防御したが、先ほどの京橋の攻撃が強かったのか、少し苦戦してるそうだ。


「クッ……やるな。お前。」


丸山は距離を離れようとするが、京橋は木を駆け抜けながら走り、すぐ丸山の方へと行った。


「速い……なんという速さだ。」

「なぜ逃げる?もうおしまいか?」


京橋は剣で斜め下から振った。また、さっきよりまた攻撃が強くなった。丸山は避けようとしたが、さっきの攻撃で、顔にかすり傷が出来てしまった。


「キッ!」

「その程度か。」

「俺を舐めるなよ。」


すると丸山は、刀で攻撃し、徐々に攻めてきた。それに対し京橋は、剣を防御し、討ち合い状態になった。その間に安曇川は隠れながら丸山の方へと行った。


「おいどうした!さっきの勢いがないぞ!」

「そうかな。」


京橋は笑いながら言った。


「なんで笑うんだ。お前頭おかしいぞ。」


丸山はハンドガンを持ち、三発ハンドガンを撃った。京橋は三発のうち、二発はバク転で避け、もう一発は剣で斬った。


「ハンドガンかよ。」

「フフフ…ほら、早く俺を倒せ。」


丸山はまたハンドガンを五発撃った。京橋は全て避けたが、バランスが崩れ、倒れてしまった。すると目の前には丸山がいて、京橋の鼻の上にハンドガンに当てた。


「さあ降参するのか。ここで死ぬのか。選べ。」




「フン。」


京橋は笑った。


「何がおかしい!?」

「後ろ、後ろを見ろ。」

「は?」


後ろには安曇川がいた。するとある技をする。徐々に紫の煙が溢れ出し、息をゆっくりと吸う。


「スペクトオーバー」


安曇川が下から斜めで振り、その同時に丸山の方に向かって、衝撃波を攻撃した。丸山は吹き飛ばされ、数十メートルの木の所で激突した。


「クソ…ガ…」


丸山は気絶した。


…………………………


「母さん、この水って綺麗だよね。」

「この水はこの六甲山しか手に入らないからね。」


まだ中学三年の頃の丸山と丸山の母親が川を見ていた。丸山はこの場所で住んでおり、野菜や果物などを作っている。母親は川の管理、父親は農業、それぞれ役割していた。


「お母さん。これ。」


丸山は川で拾った水をバケツで二個持って来た。


「ありがとうね須磨。ほんと助かるわ。」

「家族の事なら、何でもするよ。」


丸山は毎日家族の手伝い事をしていた。なぜ手伝い事してるのか。それは、他にやる事がなかったからだ。母の手伝いもし、父の手伝いもする。丸山にとって、楽しい日常だった。


「久しぶりの青空だな。」


丸山は空を見ている。空は青で、雲は一割程度だった。丸山は草原に座り、足を広げた。耳をすませると風の音が聴こえ、丸山は少し嬉しそうな表情だった。夜になると丸山の家族はご飯を食べている。


「この魚おいしい!」

「だろ!この魚は滅多に手に入らないから激レアだよ!」


その魚は鰻だった。昔は普通に手に入れるものだったが、人類が急速に減少してから鰻は手に入れるのが困難な状態だ。


「あなたよくこんなものを手に入れたね。どうやって見つけたの?」

「たまたま偶然で見つけたよ。魚を取ってる作業が終わろうとした時、前から見たことのない魚がいて、そいつを取ったらまさかの鰻だっただよ!」

「へぇー!そうなんだ!」


もっと幸せな状態が続いたらいいなと丸山は思った。


だけどそんな事は続かなかった。


数週間後、天気は雨だった。丸山は傘を持ちながらバケツを持って歩いた。水を運んでいるのだろう。家に着く時、父親が焦りながら言った。


「摩耶!早く来て!」


丸山は急いで家に入った。


「どうしたの?何かあったの父さん。」

「あいつがくるんだ。」


困惑する丸山。すると母が説明し始めた。


「ブラックアサシンという人。知ってる?」

「嘘、そんな……なんであいつがここに来るんだ。」

「この手紙から来た。」

「!!」


ゆっくりと机に手紙を置く母。その手紙には、


正午にあなたの家に行きます。その時にあなたの息子を用意してください。もし守れなかったらあなたの家族を消すことにします。


というものが書かれていた。


「なんであいつがここに来るんだ!」


机を叩く父。


「でも俺が行けばだいじょ……」

「馬鹿野郎!お前が行ったら死ぬぞ!あいつはな!家族の息子、娘を暗殺するんだ!」

「そ、そんな……」

「なんで私達がこんな目にあわないといけないの……」


母は泣き始めた。


「嫌だよ。父さんと母さんが殺されるのは嫌だよ。」

「駄目だ。お前はまだ生きて行かないと。」

「でも!」

「分かってる。でも俺達はお前を守らないといけない。それが家族だ。」

「……」

「あそこに隠し戸がある。あそこで息を殺しながら隠れてくれ。」

「うん……」

「大丈夫。もし何もなかったらすぐ戻るさ。」


すると父は丸山をハグをし、母もハグした。するとドアから軽く叩く音が聞こえた。そう、彼が来たのだ。


「よし、行け。」


うんと頷き、隠し戸を開き、そそて閉じて隠れた。父と母はドアの方に行って開けた。


「こんにちは。あなたの家族の息子はどこですか?」


黒い傘を持ち、黒服の白いネクタイを付けており、黒いコートを着てる男、ブラックアサシンと、後ろに同じ服着ており、髪が肩辺りまであり、髪の内側には白色である女がいた。


「その、息子は、川で溺れ……行方不明なんです。」

「そうなんです。半年前から探しているんですけど、まだ見つからなくて…」

「そうなんですか?これはやばい状態ですね。」

「息子を見つかったら手紙で報告します。」

「なるほど、分かりました。もし見つからなかったら、あなたの家族は諦めます。」


両親は少しほっとした。しかし次の瞬間、ブラックアサシンは父と母の顔を手で掴み、机で思いっきりどついた。


「こんな嘘で通用すると思うなよ……」

「あああああああああああああああああああああああああああああああ!」

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああ!」


二人とも頭から血が出始めた。ブラックアサシンは家に入った。


「や、やめて、お願い!ぐはぁ!」

「ようそんな嘘で言えるな……分かってるんだよ。お前の息子がいるって事を。」


ブラックアサシンは丸山の父を5発連続で素手で強く殴った。父は倒れ込み、母はブラックアサシンから離れた。隠れていた丸山は絶望の表情になり始めた。


「おうおうおう。これはこれは可愛い妻じゃないか。お前、いい体してるなあ。」

「やめて!お願い!」


ブラックアサシンは丸山の母を服をちぎった。


「な、何してんだ!」

「残念だが、こいつは俺の人質とする。」


ブラックアサシンは丸山の身体を触り、舌を胸に舐め始めた。


「いやああああああああああああああああああああああああああ!」

「貴様ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


すると黒服を着た女性が刀を開き、首の手前まで動いた。


「はい黙る。」


するとブラックアサシンはハンドガンも持ち出し、撃つ前にこう言った。


「さよなら。負け犬。」


銃声がなり、父は弾に当たられた。数秒後、父は意識がなくなり、撃たれたところに血が出始めた。丸山は絶望の顔になり、涙が出始めた。


「そんな、父さん……」

「あなたああああああっ!きゃあ!」

「今日から俺がお父さんだ。いいな。」

「そんな、そんなああ!」

「おい、息子いないか確認しろ。俺はそいつとこいつを持って先に行くから。」

「はい。」


ブラックアサシンは母と父を連れ出し、父は投げ捨てられ、母はブラックアサシンにレイプさせられ、悲鳴と喘ぎ声が聞こえ、させられた後、母は連れ去られ、帰らぬ人になった。黒服を着た女性は丸山を探し始めた。


「おーーいガキ、出てこーい。出てこなかったらお前を殺すぞ。」


丸山はすぐ別のところに行き、机の下に隠れた。徐々に近づいていく女性。戸を足で破壊し、戸は粉々になった。丸山はかなり驚いてしまう。隠れた丸山のところに入り、辺りを見る。


「たく……どこにいるんだ……」


そして隠れている丸山のすぐそばに着き、女性はまだ気づいていなかった。まだ気づいていない。何とか行けるのかと丸山は思った。


「仕方ない。多分逃げただろうな……」


女性は丸山を探すのをやめ、ここから去ろうとした。丸山はホッとし、机の下から出ようとした。しかし、目の前に表れたのは女性だった。


「やっぱり。いたんだお前。」


丸山は驚き、身体が激しく震えた。もうここで死ぬんだと泣きそうになった。


「ゆ、許して……ご、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。」

「もう泣きそうになってる。」


女性は笑っていた。すると女性は丸山の顎を右手で触った。


「ま、君まだ若いし、殺す事はなしにする。その代わり、次会ったら私の言う事にしなさい。」


丸山は黙っていた。何を言えばいいのか頭の中で混乱していた。


「そうそう。私の名前はロビン・ガーデンテラス。覚えといてね。」


すると丸山はこう言う。


「もし言う事出来なかったら……」

「あなたを、襲うから。」


ロビンが去った後、辺りは自然がなかった。そう、あの二人が破壊したのだ。その風景を見た丸山は怒りを感じた。


…………………………


目が覚めると天井があった。


「夢か……」


すると安曇川が部屋に来た。丸山はすぐに起き、警戒し始めた。


「大丈夫よ。あなたを襲わないし、あなたを敵だと思ってないから。」

「何故助けた?」


すると安曇川は作った食事を机に置いた。丸山はその食事を見たのか、警戒するのをやめた。


「はいこれ。しんどくなかったら食べて。」

「あ、ありがとう……」

「食べ終わったらそのまま置いといて。」

「あ、うん……」


安曇川は部屋から離れた。直後、丸山は机に置いていた食事を食べ始めた。食事はご飯と鮭、味噌汁、お茶だった。


「お、美味しい……」


すると丸山は徐々に早く食べる。余程お腹が空いていたのだろう。数分後丸山は完食した。すると安曇川と赤穂が部屋から入って来た。


「お前たち……」

「よう。体調大丈夫か?」

「別に大丈夫だけど……それより何故殺せなかった?」

「なぜって、そりゃ……あんまり人を殺したくないし……」


すると安曇川が丸山に質問する。


「何故水を拾うの駄目なの?何か過去のきっかけとかでも?」

「実は前にやられた事があって、次は絶対に守らないとと思って、ここに来た人達を撃退したんだ。」

「誰にやられたの?」

「ブラックアサシン。」


京橋と安曇川は驚き始めた。


「ブラックアサシンって、確か…」

「お前ら、知ってるのか?」

「うん、知ってる。人類最悪な人だろ。」

「ああ、そいつに俺の父親を殺し、母親はあいつに連れ去った。」


ブラックアサシンは人類最悪な人であり、一般市民を容赦なく殺し、女性には過激な事をするなど、最悪な人間だ。


「あいつだけは……あいつだけは!今から殺してやる。」


丸山は右手に強く握りしめる。すると京橋はこう言った。


「とりあえず、落ち着こう。この状態で戦っても絶対にやられるし、今夜はゆっくり休んで。」

「私も京橋と同感よ。」

「分かったよ。休むよ……」


京橋と安曇川は少し笑顔になった。すると安曇川は丸山にある提案をした。


「ねぇ。私達と一緒に行こう。一人だと面白くないし、あと一人で戦うより、三人で戦うほうが倒しやすいよ。とは言ってもあいつにはまだ倒せないけど……」

「え、いいのか……」

「いいのよ。貴方は悪い人じゃないし。」


すると丸山は少し嬉しそうな表情になった。


「お前ら、本当にありがとうな。わざわざ治療や食事を用意してくれて。」


すると丸山は泣き始めた。赤穂は丸山の背中を手で撫で始めた。



翌日



京橋と安曇川は食料と水を確保することができ、丸山は2人と一緒についていく事になった。彼らは、大阪方面に行き、京橋と丸山は電動バイクで二人乗りしていた。京橋はある音楽を流していた。その曲は「人生は美しい」という曲だった。1時間後、大阪港に着き、安曇川の家に入っていった。


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