第11話 剣聖
次の日、俺は近くの街『ザーレ』に到達する
ザーレは北部の中では最大級の都市だ。勿論ギルドもそれ相応の最大規模のものが敷かれている
北部にあるが、雪の影響を比較的受けずらくする為に街の至る所に『熱機関』と呼ばれる炎魔法と水魔法を組み合わせた物が配置されており
その影響か街では絶えずスチームが立ち上っている
故にザーレは『水蒸気の街』とも呼ばれているのだ
「しっかし前見た時よりもはるかに街が発展してていいねぇ!」
思わずそう言いたくなるほどに、しっかりとした基礎が出来上がっていた
昔俺達が手を貸した際はまだ雪に覆われているだけのチンケな街だったのだが、勇者を含む異世界人の手で何とか立て直すことが出来たのだ
「お!いらっしゃい!……名物の『煙饅頭』安いよー安いよ!」
露店も数多く存在しており、その雰囲気はどちらかと言うと温泉街のそれに近しい気もする
「3つね、あいよ!毎度アリ!」
「おうおっちゃん、ギルドってどこにあるかわかるかい?」
俺は饅頭を3つ買いながらそう尋ねる。
「あ〜あんちゃん外からきたんか?……んならあそこのでかい建物だぜ?……それにしてもあんたの顔どこかで見たような……」
「ありがと!んじゃ!」
俺は足早にそこを立ち去る。危ない、俺は割と有名人らしいのでな……基本厄介事に巻き込まれるのは色々と怖いし
◇ ◇ ◇
「へーここがギルドかぁ……ひっろ!」
王都のギルドよりもでかい建物に少し驚きつつも俺はカウンターに並ぶことにする
ちなみにほかの3人はみんな武装モードになってもらっている。
なお、彼女らはギルドに既に登録されているのだが……一応何かとトラブルの元になりそうだったので武器になってもらっているわけだ
さて、しばらく待っていると唐突に後ろから話しかけられる
「おいオッサン、邪魔だよ……俺たちにさっさと道を譲れよ?」
「そーだよ!俺たち『鷹の目』はプラチナ級冒険者なんだ……悪いが早くクエストを受けたいからな!」
「別に良いけど、それ他の人にやると最悪刺されるぞ?」
俺は忠告しつつ後ろに下がる。
『グリム様なんで下がったんですか!』
『そうですよォ!こんな雑魚さっさと斬り伏せ……』
『主ら思考が蛮族のそれじゃな……』
と後ろの後ろ、つまりは今は俺の後ろの女の人がその行為を咎める
「君たち、いい加減にしなさい!……前からあなた方の蛮行は街に広まっています……これ以上プラチナ級冒険者の名を汚すのならば……」
「ちっ!うっぜぇなぁ?!いいだろ?別にここには俺たちよりよえーやつしかいねぇんだしよ?!」
「あなた達……今この場にいた全ての人間を愚弄したわね?……それはつまりは」
うんうん、別にいいんだけどね
「……俺を挟んで喧嘩しないでくれないかなぁ?!うるさくて仕方ないんだわ」
この人らみんな声がでかい。それはもうびっくりするぐらいに
そんなヤツらが俺を挟んで言い争いされるとこっちがイライラしてくる
「あ?黙れよ雑魚!」
「────ギルド管理協会から言うとどちらもうるさいから酒場で話を聞きましょうか?」
ギルドのお姉ちゃんが割って入り、その場は丸く納まった。
まぁ因縁つけられた気がするが、知ったことでは無い
「……お待たせしまた、先程はすみません……えっとグリム様…………グリム様?!」
「あ、やっぱりおれの名前伝わっているんですね」
どうやら今回も何かと巻き込まれる気がする。
「……失礼しました、本物なのはこのギルドカードがしっかりと証明しています……改めてようこそ『剣槍の英雄王』様……!!!!」
え?今なんて?
俺の知らない称号が増えてる件
『はぁ?!なんでアーテルの方が先に称号に着くわけ?』
『はいざま〜おつですぅ!槍は所詮剣には劣るわけですぅ?!』
『殺す』
『やってみるですぅ負け組〜』
「おお!貴方様があの『剣槍の英雄王』……グリム殿か?!……」
おっさんが歩いてきて俺の胸を触る。なんだろう、死ぬほど怖い
「……あの?いや、別にいいんですけどなんで胸を……?」
「しっかりと鍛えられた胸筋だ、君も剣聖道の一員だったのか?」
えぇ?いやそんな宗教知らないし怖いんだけど?
「……あなたは?」
筋肉が頭文字につきそうな男は白い歯をきらりと見せてそれから謎にポーズを決めて……
「……私の名は『剣聖』ガッス!……よろしくな!」
……『剣聖』
「……ひとつ聞かせてくれ、その称号は誰からかもらったモノか?」
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