第50話 第八層
皆で第八層へ降りる階段を見下ろした。
「みんな、準備はいい?」
私が聞くと皆が応える。
「いつでもいいぜ」「さて、何が出てくるか」「楽しみだ」「ワクワクするわ」
雄一、ジャック、ブラッド、芽依だの順だ。
それ以外の皆もうなずき返してくる。
この階段は砂によって隠されていた。
わざわざ隠すということは、強敵が待っている可能性が高いと思われるが、怖気づいている者は一人もいない。
「頼もしいわね。では、降りるわよ」
私がそう言って、皆で階段を降りていった。
第八層への階段を降り切ると、今度は広大な湿地だった。
所々に沼があり、沼の近くには人の胸の高さ程の水草が生えている。
その沼の近くに見えるのは大きなワニのような魔物と、昆虫型の魔物。ワニの大きさは六メートルぐらい。小さな地竜と言ってもいい程だ。
そして昆虫型の魔物は前足が鎌のようで、体はゴキブリにちょっと似ている。大きさは二メートルほど。
どちらも一筋縄ではいかないように思える。
ゾンビじゃないのは良かったけど、あの昆虫型もちょっと近づきたくないわね。
「今までの例からすると、おそらくあのワニは水属性で、昆虫型は無属性なんだろうな」
グレイグが言った。
「ワニの攻撃は噛みつきと尻尾による攻撃が想像できるけど、あの昆虫型はどう思う?」
私は誰か昆虫に詳しい人がいないかと思い、聞いてみた。
まあ、地球の虫と形が似ているからと言って、同じような生態とは限らないけど。
「あれはタガメに似ているが、もし地球のタガメと同じなら鎌のような腕で獲物を捕まえ、口にある針で獲物に消化液を注入してくるかもしれない」
と、雄一。
芽依が嫌そうな顔をする。
「それって、溶かされちゃうの!?」
「外見が似ているだけの可能性もあるだろう。七層のサソリも、あの尾の針に毒があるかどうかはまだわかっていないし」
と、ジャック。
「できれば永遠にわかりたくないわ」
七層のサソリに毒があったり、あのタガメっぽい魔物が消化液を注入してくるのかどうかが分かるのは、実際に誰かがそれの犠牲になった時だろう。
ここの魔物は倒したら消えてしまうので、あとでゆっくりと調べることができないからだ。
誰かが犠牲になるぐらいなら、永遠にわからなくてもいいかもしれない。
「では、まずは遠距離から攻撃ね。あのワニの鱗の様な皮は硬そうだし、ここが第八層ということを考えれば銃器は無理っぽいわ。まず私が試しにフレイム・ピラーを使ってみるから、陽向はそれが失敗してこちらにワニが突進してきたときにはシールドを張って足止めをして。その間に皆で階段まで一時撤退するから」
私がそう言って、数歩前に出る。
「了解」
フレイム・ピラーは火魔法中級の炎の柱だ。水属性の魔物に対しては、これがベストだと思われる。
しかし、万が一それが効かなかった時には、反撃されるだろう。あの大きなワニに噛みつかれるのは、たまったもんじゃない。
一旦上への階段まで撤退して、何か別の対策を考えなければいけない。
「それじゃいくわよ。フレイム・ピラー!」
私が火の中級魔法で攻撃すると、ワニはあっけなく消滅した。そして青い大きな魔石が残る。
「なんだ……」
私が思わず吐いた言葉に、雄一が言ってきた。
「そりゃあ中級魔法だからな。水属性なのに弱点の火の中級魔法が効かない魔物がもし出てきたら、それは相当な脅威だ」
まあ、たしかにそうね。
「いざとなったらこれで始末できることがわかったから安心ね。次回遭遇したら、今度は初級魔法が効くかどうかを試すわ」
「それじゃあ次は、あの大タガメだな。無属性っぽいから、属性的な弱点はなさそうだ。あのワニ程硬くは無さそうだし徹甲弾を試してみるか?」
ジョンが言った。
芽依の身体強化した正拳突きならギリギリ一発で倒せそうなので、芽依が自分が試してみると言うかと思ったのだが、いっこうに言ってこない。
どこか、あのゴキブリに似ている見た目が気持ち悪いから、あまり近づきたくないのだろう。
気持ちはよくわかる。
「そうね。何発で倒せるかやってみて」
ジョンが大タガメの頭に狙いをつけてライフルを発射する。
一発、二発。
ジョンの狙いは正確で、ほぼ同じ場所に着弾しているが、まだ倒せない。
しかし、大タガメが怒ったようだ。こちらに向かってくる。
それでもジョンは冷静に同じ所を狙って、さらに三発、四発。
やっと外殻を貫通して魔物が消えた。
「やはり層が深くなるにつれて、昆虫型の魔物も強くなっているな」
と、ブラッド。
そしてやはり、大タガメが残したのは無属性の魔石だった。
グレイグは、いつものように水草や沼の水のサンプルを採取することを忘れない。
私たちはさらに八層を奥へと歩きながら、魔物の調査をしていった。
それでわかったことは、ワニは火の初級魔法なら三発程度で倒せることがわかった。中級魔法ならどの属性でも一発。
中級魔法と同程度の威力が有る陽向の魔導弓による無属性攻撃でも、一発で倒すことが出来た。
まだ試していないが、おそらく芽依の火属性のナックルによる攻撃なら二回ぐらいで倒せそうだ。
しかし、あの大きなワニに近づいて攻撃するのは危険すぎる。
噛みつかれたら、身体強化していても無事でいられるかどうかわからない。
そしてライフルによる徹甲弾は、やはり硬い鱗状の部分には効かなかった。おそらく、バズーカ砲や対戦車ミサイルなどを持ってこないとダメだろう。
ただ、普段は見せることのない腹の部分なら皮が薄そうなので、徹甲弾でも効くかもしれない。
一方大タガメは、初級魔法なら四発程度。徹甲弾も四発程度でなんとか倒せることがわかった。
今回は、先日美月が魔法の腕輪を改良して皆も中級魔法が使えるようになっていたから良かったが、もしそれがなかったらだいぶ苦戦させられたに違いない。
階段の入口を砂で隠してあったのは正解だろう。
ところで私は、この間にレベルアップして33になった。
聞いたらジャックは、あれから一回レベルアップ酔を経験しているらしいから、現在のレベルは34だと思われる。
ということは、あと一つだ。
この第八層の門番を倒せば、同じになるかもしれない。
これまで私は、皆より三倍ぐらい早くレベルが上がっているのだと思っていたが、一緒に魔物を倒してきた雄一に聞くとレベルアップ酔いはまだ一回しか経験していないらしい。
つまり、私はどうやら皆の五倍ぐらいの早さで上がっていることがわかった。
さて。
第八層を進んでいくと、沼の中にワニが
もちろん第七層の大サソリも砂の中に潜んでいることがよくあったが、大サソリの場合は砂の中で動くと砂が盛り上がるので、周囲を注意していればなんとかわかる。
大タガメは沼のそばに生えている水草の間にじっとしていて、獲物がそこに近づくと急に襲ってくるが、水草の緑に対して大タガメは茶色なので、まだなんとかわかる。
問題はワニだ。
ワニは沼の水の中から鼻と目の部分だけを出して、獲物が来るのをじっと待っていることがある。そして近づくと素早く走って襲いかかってくる。
その速度は人が走るよりも速く、十メートルぐらいの距離なら一瞬で襲ってくる。
第一小隊は、私が魔物を事前に察知できるからなんとかなるけど、他の小隊の場合は気づかずに襲われるかもしれない。
私はそのあたりを皆に聞いてみる。
「他の小隊のために、潜んでいる魔物を見つける方法が無いかしら。特にワニね」
「マシンガンでそこら中にぶっ放せば、魔物が怒って出てくるかもな」
と、ジャック。
「それなら、手榴弾を沼に投げればいいんじゃないか?」
ジョンが言った。
なんか、アメリカ人っぽい発想だわ。
それに対してグレイグの答えは科学的だ。
「ドローンで上空から偵察して、その画像をAIで解析して割り出す方法があるかもしれないな」
「まあ、研究所の連中に何か考えてもらうさ」
と、ブラッド。
私たちはそんな事を話ながら、奥へと進んでいった。
とりあえず第八層の魔物の種類や倒し方がわかったので、あとはできれば第九層への階段を見つけておきたい。
すると、まだ遠いが前方に何か大きな魔物がいるのが見えてきた。
付近のワニや大タガメに注意しながらもう少し近づいていく。
「あれって、やはり門番?」
私の言葉に雄一が応えた。
「そうじゃないか?」
第九層への階段を守っていたのは、巨大なワニだった。大きさはおそらく十四メートルぐらい。
大型バスが十一メートルだから、それよりも大きい。ファンタジー的に言えば、地竜ということになるだろうか。
そして、その周りには三・五メートルほどの巨大なタガメも数匹いるので、これは第六層のパターンだ。
「あれは、かなりヤバそうね」
「あれって、人が倒せるの?」
「別に倒さなくてもいいかもしれないぞ。第九層を諦めればな」
芽依、陽向、ブラッドの順だ。
たしかに、門番は近づかなければ襲ってこないと思われる。
「でも、今私たちがダンジョンに潜っている目的は、いつか侵攻してくる異星人がああいう魔物をダンジョンで生み出して地球を襲わせるから、それを前もって倒し方を研究したり、倒す練習をするためでもあるわ」
私が言った。
「そうだな。いざとなってから慌てるよりも、今経験しておいたほうがいいことは確かだ」
と、雄一。
「まあでも、気が滅入るのも確かね」
「やってやるさ」
ジャックが言った。
「それで、どうやる?」
ジョンが聞いた。
「まずあの巨大ワニは銃弾で倒すのは無理だろうから、今有る武器でなんとかするなら魔法による集中攻撃だろう」
グレイグが提案した。
おそらく近代兵器なら、ミサイルでも持ってくればなんとかなるかもしれないが、今は無い。
そうなると、現在の最大火力は魔法だ。
今までのパターンからすると、おそらくあの巨大ワニは第八層の他のワニと同様に火属性が弱点のはずで、火の中級魔法を数発撃てばなんとかなりそうだ。
巨大タガメも中級魔法ならなんとかなるだろう。
「それじゃあ皆で同時に、魔法の腕輪で中級魔法を放ってみる?」
と、私。
「やってみよう」
第八層では、ここまでジョン以外の皆が魔法の腕輪を使用している。
皆は特に火の中級魔法を通常のワニ退治で使っているので、魔石の魔力の残りは半分を切っていると思われる。
よって、火の中級魔法は、おそらくあと三回ぐらいしか使えないだろう。
帰りの分も残しておくことを考えれば、皆には火の中級魔法は一回程度にしてもらうのが良さそうだ。
「それじゃあ芽依と雄一、グレイグとジョンの四人は分担を決めて巨大タガメを。他は巨大ワニね。中級魔法は一回にして、帰りのために魔石の魔力を温存しておいて。もし一回で倒せなかったら、あとは私がなんとかするから」
「「了解」」
「それなら私は、赤の魔石カートリッジを温存するために、土魔法の中級を使おうかな」
芽依が言った。
「何か良さそうなのがある?」
私が聞いた。
「ロック・ドロップを練習したことがあるわ」
「ロック・ドロップは岩を空中から落とすのね?」
「あの巨大ワニには効かなそうだけど、巨大タガメならなんとかなると思う」
「いいわ」
巨大ワニは、私とジャック、ブラッドと陽向が火の中級魔法で倒すことになる。
いくらあのワニが巨大だと言っても四人で中級魔法はちょっとオーバーキルかもしれない。しかし、下手に中途半端な攻撃をしてもし反撃をゆるすことになったら、人間なんてひとたまりもないに違いない。
だからここは、確実に仕留めておきたい。
第六層では、門番から五十メートルほどまで近づいたところで向こうが攻撃してきたので、今回私たちは念の為に七十メートル程の距離から一斉に攻撃することにした。
中級魔法のフレイム・ピラーやロック・ドロップは視認さえできれば射程距離というものは関係無さそうだが、経験上なるべく近づいた方が魔法の集中力が高まる。
特に中級魔法にまだ慣れていない皆は、そのほうがいいはずだ。
そこで、私たちが七十メートルまで近づいて行くと、まず巨大タガメが反応した。ピクピクと変な動きをする。
「あれは、何をしているの?」
私が聞いた。
「まさか……」
と、雄一。
その直後、何かの匂いが漂ってきた。
甘い香りだ。
「この匂いは何?」
今度は陽向。
すると、ジャック、ブラッド、グレイグ、ジョン、雄一の五人の様子がおかしい。
ボーッとした感じになり、やがて武器を手放して大タガメの方に歩き出した。
まるで、なにかに取り憑かれたようだ。
「みんな待って! どうしたの!?」「ジャック」「雄一さん」
私と芽依、陽向で皆に声を掛け揺すって気付かせようとする。
「ダメだわ。ねえ、もしかしてこの匂いが原因じゃない?」
「でも、僕たちが何でも無いのは?」
芽依と陽向。
「七層の石碑で得た、状態異常耐性のおかげに違いないわ」
私が言った。
「ということは、催眠とか魅了?」
「どうしたらいい?」
芽依と陽向が私に聞いた。
「さっきの動きからすると、あの巨大タガメがこの匂い出している可能性が高いわ。だから、巨大タガメを倒せば影響がなくなるかもしれないわね」
「でも早くしないと、皆がどんどん近づいていく」
陽向が言った。
「そうだ。陽向は皆の前にシールドを出して、足止めできる?」
「やってみる」
陽向が横長のシールドを出して五人を足止めする。
五人は見えない壁にぶつかってもまだ前に進もうとしているが、陽向のシールドはビクともしないのでなんとかなりそうだ。
それにこのあと戦いになっても、シールドが守ってくれるから、五人のことはこのまま放っておいていだろう。
さて。想定外の事が起きたけど、しょうがない。
「それじゃあ、私と芽依で攻撃するわよ。陽向はこのまま五人を見ていて」
「わかった」「うん」
芽依と陽向が応えた。
私と芽依は身体強化をして、手で合図をして左右に別れてもう少し前に出ていく。
魔物たちがどういう攻撃をしてくるかわからないが、自分の意思で動けない五人を巻き込まないようにするために、なるべく五人から離れるわけだ。
さて、予定が狂ってしまったわ。
二人で倒すなら、先に弱い巨大タガメから確実に倒していった方がいいかな。
そんなことを考えていると、突然巨大ワニがその場でジャンプした。
え?
次の瞬間、巨大ワニの体が着地すると同時に、あたりの地面が大きく揺れた。
例えば象は八トンぐらいの重さ有るらしいが、その数倍の大きさの巨大ワニは数十トンの重さが有るだろう。
それが地面に落ちた時に発する振動は巨大地震並だし、おまけに周りは沼地で地盤は軟弱だから揺れが大きく伝わる。
「キャ」「あっ」
私たちは突然のことですぐに対処できずに、地面に倒れ込んだ。
するとそこに、巨大タガメたちが口から何かの液体を発射してきた。
やばそう。もしかしたら、さっき言っていた消化液?
私と芽依は急いで避けるが、芽依は足にその液体が少し当たったようだ。
「あつっ!」
芽依の足や、その液体が当たった地面からは煙が上がっている。
地球のタガメは強酸性の消化液を捕まえた虫などの体内に注入して溶かして食べるのだが、この巨大な魔物のタガメはそれを飛ばして遠距離攻撃をしてきたわけだ。
私は身体強化して芽依を抱きかかえて、一旦後ろに下がった。
「大丈夫!?」
私は門番たちの動きに注意しながら、水魔法で水を出し、芽依の火傷した部分を洗い流してあげる。
「ありがとう。大したこと無いわ。まだ戦える」
すると、少し離れたところにいる陽向の声。
「今治すから」
陽向が魔導弓で白魔法の矢を飛ばしてきた。
それが芽依の患部に当たると火傷が治る。
「すごい、治ったわ。ありがとう!」
芽依が陽向に。
「でも、あんな攻撃をしてくるなんて、予想外だわ。これ以上近づかないで、ここから魔法で攻撃しよう」
と、私。
「わかった。それじゃあ、お返しよ」
私と芽依は中級魔法を放った。
「フレイム・ピラー!」「ロック・ドロップ!」
私は予定通り巨大ワニに。芽依は巨大タガメの一匹だ。
私は念のために、いつものフレイム・ピラーよりも多めに魔力を込めた。
すると、直径十メートルほどの巨大な火柱が上がり、巨大ワニは消滅する。
なんだ、一発でいけちゃったわ。
芽依の放ったロック・ドロップは、一匹の巨大タガメの上空に直径五メートルほどの大きな岩が現れて、下にいた巨大タガメを潰した。
こちらも問題無さそうだ。
残りの巨大タガメも、消化液を飛ばしてくるのでそれを避けながら、私と芽依で倒していく。
巨大ワニは消えたのでもう地震はないし、巨大タガメの攻撃も距離が十分離れていれば避けるのは簡単だ。
後ろから陽向も魔導弓で無属性の矢を放って援護してくれた。
巨大タガメがすべて倒れると例の匂いも消え、しばらくすると五人の魅了も解けたようだ。
「なんか、頭が痛え」「ああ、でも何が起きた?」「どうなった?」「よく思い出せない」「そういえば門番は?」
「みんなは、巨大タガメの出した匂いで魅了状態だったのよ。門番は私たちが倒したわ」
私が言った。
「面目ない」
「ガスマスクを用意しておけばよかったな」
雄一とグレイグ。
「だんだん頭もはっきりしてきた」「もう大丈夫だ」「メイ、足をどうした?」
ブラッド、ジョン、ジャック。
ジャックは、メイの野戦服の足の部分に穴が空いているのに気がついたようだ。
「大丈夫。陽向の白魔法で治してもらったから」
「そうか……」
その後私たちは皆で第九層への階段を確認に行く。
第九層への階段は開いていて、その近くに残っていたあの巨大ワニの魔石は、やはり巨大だった。四十センチはある。
巨大タガメの魔石は十センチほどだ。
皆で手分けしてそれを持って帰ることにした。
私達はまず第七層に戻り、例の柱のところにやってきた。
皆で今度は右の柱の周りに集まる。
「マークに魔力を流してみる? 上に転移できるのよね?」
芽依が聞いた。
「その可能性があるというだけだ」
と、グレイグ。
たぶん大丈夫だと思うけど。第九層へ転移なんてことだってあるかもしれない。
「まず私が一人で試してみるから、転移先が無線が使える場所だったら知らせるわ。もし変な場所に転移させられたら、皆は私に構わず歩いて上に戻って」
私が言った。
「ちょっと待て。危険かもしれないからって、一人で試す気か?」
「俺達はたくさんの修羅場を一緒にくぐり抜けてきた仲間だろ?」
雄一とジャック。
「まあ確かに、俺達は頼りないかもしれないが」
グレイグが言った。
「そんなことは無いわよ」
「それじゃあ」
私は小さくため息をつく。
「ふう。わかったわ。皆で一緒に試そう。それじゃあ魔力を流すわよ」
「「おう」」
私がそのマークに魔力を流すと、目の前の景色が変わった。
石づくりのどこかの部屋の中だ。
「ここは……」
「あそこに石碑が有るし、外へのゲートも有る。第五層の奥の部屋みたいだ」
雄一が言ってきた。
私達は全員、第五層の奥の部屋に戻ってきていた。
「おー。本当に第五層だ」
「これで、今後は第七層からの帰りが楽になったな」
ジャックとジョン。
おそらくだが、七層に帰還用の仕組みがあったところを見ると、この先も奇数の層には同じ様な仕組みが有るのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます