【祝！完結！感謝！１００万PV突破！】第六天魔王、織田信長、再臨す 〜関ヶ原から始める織田家再興物語〜

第149話 浪人筆頭衆

　織田秀信は京を出陣した。

　当初、伊達軍は籠城すると思われた。

　しかし、それは違った。

「おう！　敵先鋒は立花宗茂か！　相手にとって不足は無い！」

「水野殿。あまり前に出すぎては行けませぬぞ。我らの目的はあくまで足止めにございますぞ」

「おお！　流石はかの大谷吉継殿の御子息、大谷吉治殿だ！　策の云々は任せましたぞ！」

　大谷吉治は首を横に振る。

「いや、某は総大将ではござらぬ。それを務めるのは某ではありませぬ」

「左様にございます。この石田重家が総大将を務めさせてもいまする。相手が織田とあっては引けませぬ故」

　石田重家ら島左近によって集められた石田三成の復讐を誓った者達は島左近が死した後も各地に潜伏していた。

　そして、伊達政宗が浪人を集めていることを知った重家らは大阪に集まり、織田を倒す事を誓った。

「成る程。まだお若いというのに、ご立派だ！　この水野勝成、感服いたしましたぞ！」

　水野勝成は関ヶ原の後、徳川家に戻らずに各地を流浪した。

　また戦場で活躍する事を望んだ彼は九州において大戦が起こると知り、すぐさま向かった。

　しかし、参加する前に悪天候により道を阻まれ、九州についた頃にはその戦は終わっていた。

　途方に暮れていると第二次関ヶ原が起こったが、九州から大阪に至った頃に終わり、結局それにも間に合わなかった。

「ここ最近、大戦が続いたというのに何も活躍できていないのでな！　活躍できるように差配をお願いいたしますぞ！」

　そして、大阪で伊達政宗蜂起。

　丁度大阪に滞在していた彼はこれが最後の好機だと感じ、かつての主の家を裏切る事になろうとも、槍を振るえる場所を選んだのであった。

「しかし重家、無理は禁物だ。ここに集う者らは歴戦の強者。皆の言う事を良く聞いて自らの糧とせよ」

「伯父上。分かりました」

　重家の隣には石田正澄がいる。

　石田三成の兄である。

「ここ山崎は隘路。大軍を相手にするのには好都合。天王山には既に南部殿達が陣取っておる。我等の総数は七万。敵の総数は十五万だが、先鋒は八万程。決戦とするにはまだ早いが、数的不利が小さいここで数を減らす」

　正澄が言う。

　その正澄の言葉に重家が反応する。

「……ここ山崎はかの太閤殿下が明智光秀を討ち果たした地。ここで我らが勝ち、天下への足がかりとする……」

　そして、重家が号令を飛ばす。

「行くぞ！　父上の仇を取る！」

「石田勢が動いたか」

　天王山に陣取る南部利直と明石全登は両軍を見つつ言う。

「さて、敵はどう出るかな……」

「恐らく、ここを取りに来るでしょうな。この天王山は要衝にございますからな」

　明石全登の言う通り、この戦では天王山を制した者が勝つ。

　事前に布陣していた伊達方が有利である以上、天王山を奪う事が織田軍にとっては重要であった。

「伝令！　徳川信康、織田信雄勢、天王山に攻め寄せてきておりまする！」

「やはり来ましたな」

　明石全登は指示を飛ばして行く。

「狼狽えるな！　可能な限り敵を引き付けてから殲滅せよ！」

「……布陣は我らの方が圧倒的に有利……負ける気がせんわ……気合いを入れよ！　南部の恐ろしさを見せつけてやれ！」

　南部利直、明石全登、石田正澄、重家、大谷義治、そして水野勝成。

　この六人……重家の補佐である正澄を一括りにすればこの五人が大阪に集った浪人衆の筆頭である。

　彼らを先頭に伊達軍は戦を繰り広げていく事となる。