第13話 さまよう者達
俺はどれだけ走っているのだろうか。
まっすぐ走ってるつもりなのだが!?
プログラムで走らせてなかったらとっくに止まってる。
いやいや走った高校のマラソン大会より走っている。
流石、ダンジョンってとこだろうか。
ただの森じゃねぇんだろうなぁ……。
せめて空の明かりが見れれば、
王国の方角に走れるのだが。
うっそうと生い茂る森の木々がそれを許さない。
そうこうして一時間近く走っていると、
……ダインスレイヴが落ちているのを見つける。
「うぉぉぉぉ!!」
俺は飛びつくようにしてそれを拾う。
その後はどうせ勝手に最適化して走ってくれるんだ。
ほら見てみろ!
めちゃくちゃ身体が痛いけど走ってる!!
俺の相棒(仮)のダインスレイヴが帰ってきたことにより、
俺に選択肢が広がる。
だが、その前に考えることがある。
さっきも言ったが、
俺はまっすぐ走っているつもりだ。
プログラムに組んだ自走機能も
障害物は避けるものの同じ方角に走り続けるように
コーディングしている。
つまり、これはよくある王道の一つ。
「どうやら、同じ場所を進ませられているようだね」
って奴だ!!
このパターンは二種類ある。
今回のように本人が気づくと、
急に敵が出てきてそいつを倒さなければならないパターン。
もう一つは、あるトリガーを引くまで、
一生迷い続けるパターン。
だからこそ、声に出してみたが、
どうやら前者の様ではない。
何者も出てこない。
ならば後者か?
トリガーは特定の敵を倒す?
逃げながら振り返ってみる。
よく見れば骸骨剣士たちは、
少しずつだが骨格が違うようだ。
持ってる剣や盾もまれに違う者もいる。
とあれば……。
もしやこれは一律の敵ではない可能性がある。
つまり、骸骨剣士A、骸骨剣士Bといった類ではないということか?
俺の知っている様々なパターンから考えるに、
昔、ここで死んだ兵士を誰かが蘇らせている。とか?
……だから?
蘇らせてる奴が出てきてないんだって!!!
おっけー、わかった。
全員倒す!!
そしたら出ざるを得ないだろう!!
このまま走り続けてきつい思いするなら
戦った方がましだ!
どうせ勝手に動くんだし!!
あわよくば死んでも駄女神から
『なさけない!』って言われるだけだ!!
今更知らん!!
覚悟を決めて俺は『コーディング』に入る。
今までは逃走プログラムだったが、
戦闘プログラムに書き換える必要があるからな。
おれはせっせこせっせこと
コードを書き、実行を行う。
「さぁ、かかってこいよ!」
骸骨剣士の戦い方は単純だ。
皆が同じ単調な動きをしている。
質ではなく量を体現化したような戦いだ。
身体が勝手に動くゆえに、
俺は思考に思考を重ねる。
……俺の仮説は当たっているのかもしれない。
こいつらに意志があるようには見えない。
もし、誰かがよみがえらせて操っているのであれば、
それはつまり、俺の能力の延長上になる。
違うのは多数の対象を一度に動かしているということだ。
まぁ、想像からしても一人一人にプログラムを組むかのように
蘇らせてるようなイメージないもんなぁ。
まとめてバーンしてドーンなイメージだ。
最初は十数体いた骨も今や数十を超える。
一人で相手するのもしんどい。
なら……俺が奪ってやるか!!
ちょうど二人がかりで切りかかってきた。
自動回避で攻撃をよけ、一体を自動で切りつける。
空いた左手で、
もう一体の骨だけの腕を掴み、
俺は、叫ぶ。
『コーディング!!』
開かれるエディター。
選ぶは『対象』
表示されるは『サワラ カグシ』『ダインスレイヴ』
そして『
さぁ、初めての仲間がお前だ!
コーディングを始めるぜ!!
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